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認知症になりたくない。予防することはできるの?

 

 認知症は今の医学では治療法がないため治すことはできません。「でも、認知症の治療をしているじゃない!」と思う方もいると思いますが、認知症の治療は治癒させるためではなく、進行を遅らせたり、家族にアドバイスを行うことがメインです。

 やはり、できることなら認知症にならずに年を取っていきたいと思いますよね。そして、予防する方法があるなら知りたいと思いますよね。現時点で、認知症を予防する方法は確立されていないのが現状ですが、様々な研究により次の2種類の方法を用いることで認知症になりにくくなることが分かっています。

 その2種類について説明していきます。

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1つ目の予防法は脳のトレーニングを行うことです

 認知症の症状はまず初めに「エピソード記憶」「注意分割機能」「計画力」が衰えるところから始まります。

 「エピソード記憶」とは今までの人生において経験してきたことの記憶です(つまり、「いつ、誰と、どこで、何を、なぜ、どうやって」という5W1Hの記憶です)。例えば「3年前のゴールデンウィークに夫と箱根でバイキング船に乗って楽しかった」など普通の日常の記憶ですが、認知症になるとこれらの記憶を忘れていきます。

 このエピソード記憶を衰えさせないためには普段から鉛筆やボールペンで日記を書いたり、メモを取ったりしてください。スマホやパソコンで入力するのではなく、書くという行為が大切です。キーボードで文字を打つ行為は単純作業のため、手書きで書くのと比べて脳への刺激は弱いのです。

 若い人でパソコンやスマホに慣れている人はコンピューターが勝手に文字を変換してくれるため、実際にペンで文字を書くときに「あれ、忘れちゃたな」ということがよくあります(これは脳への刺激が弱いためです)。それに対して書くという行為は「見るという視覚からの刺激」と「指先を使うという触覚からの刺激」で脳の活動が活発になり、認知症の予防になります。また、繰り返し書くことで短期の記憶から長期の記憶へと変化させることが出来ると脳科学では言われています。

 次は「注意分割機能」について説明します。注意分割機能」とは複数の作業を同時に進行する能力のことです。例えば料理です。料理は洗う・切る・焼く・炊くといった動作を同時に行うわけですが、認知症になると今まで出来ていたこれらの行動が難しくなります。この「注意分割機能」を鍛えるためにはどうしたらいいのか。

 料理を例に取ると普段から複数のおかずを作るようにしたり、人と会話しながら料理をしたり、つまり同時に何かをすることです。このように同時に何かをすることで脳の前頭葉が活性化し、認知症の予防になります前頭葉の機能は「認知症の原因疾患の代表的な4種類」で次のようにお伝えしましたが、記憶力(長期記憶と短期記憶)にも関わりがあります。

前頭葉は「考えること(思考力)」「創造すること(想像力)」「行動力」などを司っています。

 最後に「計画力」ですが、計画力とは物事の計画を立てて、それを実行する能力のことですが、認知症の人はこの能力が弱くなっています(実行機能障害といいます)。

実行機能障害は計画を立てながら手順を踏み、目的を達成する事が出来なくなります。

例えば料理をする場合には「野菜を切って、次にガスを付けて」など手順を決めないと出来ませんが、この一連の動作が難しくなります。

「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」より引用

 この計画力を鍛えるために一つ例を挙げると「今日の計画」を立てて行動することです
例えば
9時00分 「マルエツでバーゲン品の魚、マヨネーズ、豆腐、鶏肉、ネギを買う。ヤオコーで醤油を買う」など具体的にどこのスーパーで何を買うのかを紙に書いて計画を立てる

10時00分 マルエツに到着して25分間で買う。

10時30分 マツモトキヨシでトイレットペーパーと風邪薬を買う。

11時00分 家に帰って「昼ごはんの献立」と「作る順番」を考える(あえてペンで書き出してみましょう)。献立は味噌汁、サンマの塩焼き、野菜サラダ、お米で、3人前を作る。作る順番はサンマをガスレンジに入れて焼きながら、野菜を切り、次に味噌汁のダシを取る。

11時30分 料理を30分で作る。

12時00分 食事を始める。

13時45分 友達とデニーズに待ち合わせ。

など。

 「1日の計画」や「料理の献立を作る」などは構想を練らないと出来ない作業ですので、脳を鍛え、認知症を予防するにはもってこいです(計画を立てて実行するのも前頭葉が関わっています)。

2つ目の予防法は生活習慣を整えることです

 認知症は「発症する数十年前からその種が植えられている」と言われていますので、若いころからの生活習慣は非常に大切です。ここでは5つを紹介しますが、これらを適正に行うことで認知症の予防になります。

①バランスの良い食事を食べ、お酒を飲みすぎない。
 血管性認知症は脳梗塞や脳出血などの病気により引き起こされるので、糖質を多く含む食べ物をたくさん食べるなどの偏った食生活は良くありません。特に糖質は動脈硬化に繋がりますので注意してください(参考記事「ed(勃起不全)は食事で治せ(改善)! 精力の付く食材とは」)。また、アルコール飲料を多く飲む人はアルコールによって脳の機能が阻害されるケースがあるので、認知症を進行させる恐れがあります。

②夜にしっかり睡眠をとる。
 寝る時間が極端に少なかったり、昼夜逆転の生活をしていると認知症の症状が悪化するケースがあります。アルツハイマー型認知症の原因はアミロイドβという蛋白質が脳に溜まることであると「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」でお伝えしましたが、深く寝ている時にはβアミロイドの量が少なくなることが分かっています(精神・神経科学振興財団より)。

③軽い運動でも良いので体を動かす。
 年と取ったら激しい運動は出来ないので、ウォーキングが最適です。運動をするとβアミロイドを分解する酵素が出るため、アルツハイマー型認知症の予防になることが分かっています。

④他人と会話をする。
 会話をするということは「自分が話す内容を構想する」「人の話を理解する」「返答する」などのプロセスが伴うため、初めに説明した「脳のトレーニング」に繋がります。

⑤字を書く。
 字を書くことのメリットは先ほど説明しましたが、④と同じく「脳のトレーニング」に繋がります。

 以上、認知症を予防するための2種類の方法を紹介しましたが、これらを実行することで認知症の予防が期待できます。

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