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デイサービスでの認知症利用者に対する認知運動療法について

 

 認知症と診断されているA氏は、これ以上認知症症状が進行しないようにしたいという家族の希望によりデイサービスを利用することになりました。

 A氏の認知症の症状としては、短期記憶障害や注意能力の低下が主としてあり、認知症の自覚も無いため、「なぜ自分がデイサービスに行かなければならないのか」と分かっていない状況での利用開始となりました。

 また、利用開始時A氏は訪問介護(ヘルパー)等の在宅サービスを利用しながら独居されており、認知症の症状の進行を防止し、独居生活を継続できるようにしていくことをご家族は望まれていました。

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デイサービス利用開始

 通常デイサービスでは、認知症を呈する利用者に対してレクリエーション(集団活動)を提供することが一般的となっています。

 しかし、特に人と関わることが好きなケースや利用者の趣味・趣向が合致するケースは別ですが、スムーズにレクリエーションに参加できるケースは稀です。また、独居高齢者の場合、集団活動に対して消極的になりやすい傾向にあります。

 A氏も同様であり、デイサービス=レクリエーションをする場所と捉えていたようでしたので、当事業所では運動を主とすること、レクリーションは一切しない事を説明することで拒否なく利用開始することができました。実際、認知症進行防止に運動(特に認知運動療法)効果があるということは、多く報告されています。

認知症利用者に対する認知運動療法

 A氏に対しての運動方法として、認知運動療法を実施しました。方法としては利用時の状況に合わせて調整していきましたが、主として100から3引きながら歩く練習を行なう、しりとりをしながら歩く、といった二重課題(二つ以上のことを同時に行うこと)を行なっていきました。

 このような認知運動療法では、間違えず完璧にできる難易度では効果を得られず、かといってほとんど正しく行えない難易度ではモチベーションの低下を招くので、「少し間違える程度」の難易度がいいのです。A氏においても、様々な難易度で挑戦しましたが、前述した方法の難易度が適当な難易度だと判断しました。

運動の実施状況

 運動の特性として、「間違えること」が前提となりますが、認知症利用者の特徴として間違えることを「人に知られること」を恥ずかしく感じて隠そうとしてしまい、A氏も運動を中断することがありました。

 そこで一度、個別対応を行ない、マンツーマンで実施状況や意欲を確認したところ、特に問題なく実施できていました。そのため、可能であれば個別対応が望ましいということが分かりましたが、昨今の介護業界の事情として当事業所も例に違わず人手が十分とは言えないため、完全個別対応というわけには行きませんでした。ですので、集団での実施の時もありました。

 常に意識したのは、「間違えることが前提である」ということを反復して伝えたことで「間違えても恥ずかしくない」と思わせたことです。恥ずかしがってやらないのは勿体ないと説明していくことで、A氏の「それならば・・・」と動き出しのキッカケを作ることができました。

まとめ

 認知症利用者に対する支援方法は多岐に亘ります。レクリエーション自体が悪いということではありませんが、認知症=レクリーションと安易に直結させるのではなく、適切な運動を行っていくことで、認知症症状の進行を少しでも遅らせることも介護サービスを提供する側の重要な役割だと考えます。

[参考記事]
「認知症患者に対するリハビリテーションの必要性」

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