認知症の影響で自分が話したことを忘れて、同じ事を何度も聞いてくる人がいます。その際に介護者はどのような考えを持ってどのような対応を行っていくのか考えていく必要があります。
何故なら同じ事を何度も聞かれる事は介護者にとってイライラしてしまうものだからです。ここでは何度も同じ事を聞かれる場合に主に介護職が行う対応について紹介します。
病気の影響で起こっている事を強く意識する
何度も同じ事を聞かれると通常であれば「どうして同じ事を何度も聞くの」と言いたくなってきます。しかし認知症の影響で前も同じ話をしたこと自体を忘れてしまう場合もあります。
通常の物忘れは忘れている事を指摘すると「そういえば忘れてた」と思い出す事が出来ますが、認知症の方は指摘されても「何故そのような事を言うの??」と思い出す事が出来ないのです。同じ事を何度も聞かれた時は「これは認知症の影響で起こっているのだ」と介護者は強く意識する必要があります。これによって介護者が感じるストレスも少しは軽減する事が出来ます。
心身に何らかの悪影響が出ていないか観察する
認知症の人の心身に何らかの不調が生じ、強い不安感から同じ事を何度も聞いてくる事もあります。例えば施設に入居しており、何度も「今日は息子は来るの?」と聞いてくる人がいました。この人は膝の痛みが悪く、その不安感から同じことを何回も言っていたと考え、治療したところ、その話が治まったケースがあります。他にも毎日のように「私はご飯を食べていない」と聞いてくる人が便秘の治療後に聞いてこなくなったケースがあります。
このように心身に不調が生じていないか確認し、必要な治療を行う事で、同じことを何度も言う会話が治まる可能性もあるのです。
その他に行うと有効な対応
食事の要求を何度も聞いてくる場合には、小さいおにぎりや飴玉を食べて頂きながら「もう少しで食事ですから待っていてください」といった対応を行ってみます。
それでも治まらない場合にはタオルを畳んでもらう等のお手伝いをお願いしたり、会話の時間を取ることによって、意識を食事からずらしていきます。
また認知症の方が楽しめる趣味への参加、レクリエーションといった他者との交流の機会を作る事によって、楽しみや安心感を持って生活できるよう環境を整える事も有効です。レクリエーションに参加するようになって認知症の人が何度も同じ事を聞いてくる状態が軽減したケースも実際にあります。
[補足]
ものわすれクリニックの松本一生さんは「5回以上同じことを聞かれたら、そのことを指摘したほうが介護者の精神的なダメージは少ない」と言っています。数十回も同じことを聞かれると介護者のストレスも溜まってきますので、その前に優しい物言いで指摘した方がいいとのことです。
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