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介護老人保健施設の入所基準と認知症介護での役割

 

 介護老人保健施設は、他の老人関連施設のように長い間いられるような場所ではなく、再び自宅で生活してもらうことを目指す施設です(3か月ごとに退所するか決める)。介護老人保健施設では、認知症専門棟を持っている施設もあり、認知症を中心としたフロアもあります。

 介護老人保健施設に入所を希望される方は中度・重度の認知症の方が多いです。また、専門棟を持つ施設では日常生活自立度Ⅲa以上の診断があることが基準です。専門棟でなければ制限はなく、要介護1以上であれば入所は可能です。

 金額は個室か相部屋によって違いますが、おおよそ10万円から20万円以内です。

 中間施設としての役割として在宅復帰を掲げておりますが、ご家族様も介護疲れで入所を考えてくるため、認知症の方の在宅復帰は正直な話、困難です。

[参考記事]
「認知症の日常生活自立度って何?何に役に立つの?」

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介護老人保健施設内での支援

 介護老人保健施設に入所された認知症の利用者は、周辺症状も多く見られるため、医師をはじめ、各専門職がその方の生活について検討し、療養生活を安心して過ごして頂くよう計画を立てます。

 施設内での支援については、
①医療面について
 医師が診察をしたうえで、看護師が薬の管理、処置を行ないます。認知症の進行等症状の観察を行い、医療面のフォローを行ないます。

 施設入所中には認知症の進行に伴い、中核症状、周辺症状の悪化等が見られるケースがあります。例えば、他者に対する暴力、徘徊、過度な暴言等が挙げられます。この場合は、認知症の専門医との連携を図り、内服の調整等を行ないます。内服の調整でも困難であれば入院設備のある精神科との連携を図ることが必要となります。

②理学療法士・作業療法士等
 個別リハビリとして運動や、認知症予防のための軽作業、何名か集まっての集団リハビリ(体操や回想法等)を行ない、身体機能、認知症の進行防止に努めます。

③介護士
 認知症の方のフロアでは、周辺症状を理解し、声掛けや環境整備、他利用者とのトラブルを防ぎ、安心して生活できる様に介助を行います。また、療養生活パターンを把握し、異常があった場合の状況把握を行います。

④介護支援専門員
 施設内の様々な職種からの意見を整理し、施設内でどのように療養生活を送って頂くかのマネジメントを行い、利用者の変化に応じて都度対応をしていきます。

 入所後は、介護支援専門員がケアプランを定期的に提示し、その際に次の方向性の確認などを行います。

⑤支援相談員
 入所相談から施設入所までの説明や入所後の家族との調整を行ないます。介護老人保健施設は中間施設として機能しているため、終身入所できる施設ではありません。

 このため、入所申し込みの際、支援相談員は入所の目的・入所してから次の方向性(在宅か施設か)を聴取します。

⑥管理栄養士
 利用者の栄養状態を確認し、低栄養にならないよう管理し、なった場合は必要な対応を図ります。また、認知症状が進んでいくと食事の意味が分からなくなり、食事を摂らなくなることがあります。栄養状態低下がある場合は、内科医との連携を図り、入院等を検討する必要があります。

介護老人保健施設を退所してからの方向性

 介護老人保健施設の認知症を患う入所者の次の方向性としては、
➊特別養護老人ホーム

➋療養型病棟(終末期に近い場合)・精神科(症状が悪化している場合)

➌認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
が挙げられます。

➊は在宅では困難であるため、終身の施設と考えている場合

➋医療依存度が高くなり、介護保険施設では対応が困難である場合

➌小規模の集団生活に慣れて周辺症状も落ち着き、在宅生活に近い環境が合っているのではないかと思われる場合
が挙げられます。

 もちろん、自宅に帰れれば一番いいのですが、現状では難しいケースが多いのが現状です。

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