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ニュージーランドと日本の老人ホームの違い。認知症の症状は同じ?食事は?

 

 こんにちは、Myuuです。私は現在ニュージーランドの老人ホームで介護士として働いており、もうすぐ2年目となります。日本でも介護士の経験が5年あり、特別養護老人ホームと有料老人ホームで働いていました。

 今回はニュージーランドのと日本の老人ホームの色々なシステムの違いや実際に私が感じた違いなどをご紹介させて頂きます。

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老人ホームに入居している利用者の違い

 まず、ニュージーランドといえば世界1,2位を争う肥満大国です。体の大きな利用者さんが沢山いらっしゃいます。100キロ超えの人も少なくはありません。そして、移民の方が沢山住んでいる国なので、国籍も様々です。イギリス、サモア、インド、中国、などです。

 利用者様の文化を尊重し、快適に過ごせるようサービスを調整することは慣れないと大変ですが、色々な文化の違いを学べて楽しいです。

 日本の老人ホームの利用者は基本的に日本人のみです。私は今までに外国人の利用者と日本の施設で会ったことがありません。体のサイズも、大きい方はいますが、小柄なお年寄りが大半です。

認知症患者の違い

 ニュージーランドでも日本でも認知症の人たちの症状は似ています。暴力的な老人や、物盗られ妄想のある人など共通の症状は多いです。

 もちろん違いもあります。例えばニュージーランドのお年寄りは感情豊かな人が多く、認知症になってもそれは同じで、すごく明るい人と、気性が粗くて暴力的な人とに分かれます。機嫌が良く、楽しく話をしていた次の瞬間、激怒して暴れ出す人もよくいます。

 その点日本人の認知症患者は、比較的大人しくて上品だと思います。物を溜め込んだり、徘徊する人はたくさんいますが、叫んだり暴れる人は外国人の利用者と比べると少数です。

 世界共通だなと思ったお年寄りの性質は、みなさんティッシュやトイレットペーパーが好きでいつもポケットや袖の中に溜めていることです(笑)

食事の違い

 ニュージーランドの施設で驚いたことが、ティータイムが1日に3回もあることです。10時、14時、19時に毎回お菓子付きでコーヒーか紅茶かココアが選べます。毎食後、デザートとおやつを提供する形となります。ちなみに日本の施設では15時の1回のみのティータイムでした。

 食事の内容もだいぶ日本のメニューとは違い、ピザやパスタ、ステーキなど洋食中心となりますが、たまにカレーライスやピラフなどの米料理も出ます。宗教によって豚肉や牛肉を食べない方や、ベジタリアンの方もいるため、特別料理も用意されています。

 日本の施設は基本的に和食メニューです。やはり昔から食べ慣れている物だから、お年寄りも食べやすいのです。新年には特別料理としておせち料理も出るので、楽しみにしている利用者さんが沢山いました。

 写真はある日のニュージーランドの施設でのランチです。メニューはラム肉のソースかけです。右のトレイに乗ってるのピンク色のドリンクは糖尿病患者用の低カロリージュースで、左のトレイに乗っているドリンクはキウイフルーツと、チョコレートドリンクです。このメニューにさらにデザートが付いてきます。

 またニュージーランドの老人ホームではよくティーパーティーが開かれますが、以下のような手作りのお菓子などが並びます。

職員の違い

 ニュージーランドの職場では色々な国の人が働いています。看護師と介護士は、フィリピン人、ニュージーランド人、アメリカ人、アフリカ人、日本人などです。難民で来た人や、出稼ぎで来た人など状況も様々です。

 日本の職場では先輩や年上の職員に対して敬語を使い、同期の職員とは違う接し方をするのが普通だと思いますが、ニュージーランドや外国ではあまり上下関係がなく、対等に接している傾向にあります。もちろん上司はいますがお互い名前で呼び合い、気楽に話し、自分の意見や不満を堂々と言える関係にあります。

 職員同士、面と向かって思っていることをはっきりという分、陰口やイジメのようなものはあまりありませんが、喧嘩を見ることはたまにあります。意見の違いなどから気持ちが抑えきれなくなり、お互いを罵りあっていました。その後は仲直りをして何事もなかったように過ごしていました。

 日本人は大人になるとなかなか喧嘩はしないと思いますが、陰口やお局様からの陰湿なイジメというものは過去の日本の職場ではよく聞きました。

施設の設備、方針の違い

 ニュージーランドの施設には利用者をベッドから車いすに移乗する際などに使う機械があります。寝たきりの人をネットを使って吊り上げる機械と、立つことを補助する機械があります。冒頭で述べたよう身体の大きな人が多いし、介護者や利用者の身体を痛めないために使われています。

 例えば以下の写真は「スタンディングホイスト」と言いますが、立位を補助して移乗する機械です。

 また、下の写真は「スリングホイスト」と言いますが、UFOキャッチャーのようにこの機械が浮き、網をつかって利用者さんを吊り上げて移乗させます。


 日本ではスキンシップを大切にするため、機械を導入せずに人の手で介護することを重視していますが、外国人のように身体の大きな人が少ないという理由もあるでしょう。

 また、ニュージーランドの老人ホームでの健康管理は、日本と比べて医療的な方法よりも自然な方法で行われていると感じます。例えば便秘の患者さんがいればキウイジュースやプルーンを朝食に出し様子を見、薬はすぐには処方しません。

 私が勤務していた日本の施設では便秘3日目からラキソベロンを処方し、5日目から坐薬を処方していました。また、日本では自分の力で食事が飲み込めなくなってしまった人に対しては、手術で胃ろう(お腹に小さな穴をあけて管を通し、栄養など送るもの)を造設して延命措置をとるケースはよく見ますが、海外ではほとんどありません。自然の摂理で最期を迎えるべきという考えが強いです。そのためニュージーランドで寝たきりの患者さんは少ないです。

働き方の違い

 ニュージーランドの会社には日本同様に有給、年休、病欠、慶次法事の休みがあります。有給は働く年数によって増えていき、1〜2ヶ月間の休暇を取る人は多く、中には1年近く休んでる人もいました。だいたいの人は、休暇中に旅行へ行ったり自分たちの国へ一時帰国されています。

 残業はほとんどなく、時間になれば仕事が残っていても次に人に託してみんなすぐに帰っていきます。

 日本ににも有給休暇はありますが、一週間以上のまとまった休みはなかなか取りにくいと思います。

[参考記事]
「認知症による失語の事例を3つ紹介します」 

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