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認知症の治療は何をするのかを説明します

 

 認知症には中核症状と周辺症状があると以下の記事で説明しましたが、それぞれどのように治療を行っているのかを説明します。
「認知症の中核症状って一体どんな症状なの?」

「認知症の周辺症状ってどんな症状なの?」

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中核症状の治療

 現段階で認知症の中核症状を治すことは出来ません。認知症の中核症状は海馬が縮んだり、脳神経などが損傷されるなどの脳の変化で起きるので、見当識障害、記憶障害などを元のように回復させることは難しいのです。

 ですので、認知症の中核症状の治療は薬物を使用して症状の進行を遅らせるだけです(参考記事「認知症の代表的な薬とは?」)。もっと言うと進行を遅らせることさえ疑問です。アリセプトの添付文書には「進行を抑制するという成績は得られていない」と書いてありますので、過渡の期待はしない方がいいです。実際の現場の声ではアルツハイマー型認知症で使われるアリセプトは1年ほどしか効果が持続しないと言われています。

1.本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。

アリセプトの添付文書より引用

周辺症状の治療

 周辺症状である幻覚・妄想・徘徊・興奮・異食・攻撃的言動・危険行為・不穏・不潔行為・ケアの抵抗・抑うつといった症状を緩和させるのは薬物療法あるいは非薬物療法を行います。

 例えば薬物療法の場合には「興奮」に対して抑肝散などの漢方薬や抗精神病薬が処方されます。しかし、今のところ認知症の治療薬で保険が適用されるのは中核症状のみで周辺症状に対しての薬は自費になります。

 非薬物療法とは身体的、心理的な改善を目指すリハビリテーションのことです。例えば音楽療法、作業療法、回想法、運動療法などがあります。作業療法では認知症の方が「やりたいこと」や「やりたいけど出来ないこと」などを一緒に行なうことで、精神的な安定や日常生活の改善を目指します。

 回想法とは自分が生き生きしていた時代を思い出したりすることで、自信や生き甲斐を取り戻してもらうために行います。「パーソナルソング」というドキュメンタリー映画の中で、認知症の方が昔を思い出すことで表情が生き生きしてくる様子が映し出されていましたが、まさしくこれを回想法では目指しています(参考記事「認知症を音楽で治す様子を映した映画「パーソナル・ソング」が感動する」)。

 運動療法では寝たきりにならないように関節を動かしたり、筋肉をつけてもらうための指導が行なわれます。

 薬物を使わない治療として一番大事なのが家族との関わりです。周辺症状は中核症状から発生するだけではなく、家族との関わりによって現れてくることも少なくありません。ですので、認知症の人に対してどれだけ「快」を与えることができるのかが、症状の安定には大切です。例えば、不潔行為では便を素手で触ってしまうことがありますが、こうなる前に排便をした際すぐにオムツを替えてあげたり、トイレに行きたそうであれば誘導してあげる事が必要なのです。また、認知症の方と会話するときには小さなことでもいいので積極的に褒めてください。

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