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認知症になってから性格が良くなることはあるの?

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20代の女性に認知症の家族のことを書いていただきました。

………

 祖父の身体は丈夫で七十代になっても足腰はしっかりしており、健康状態も良好でした。しかし、少しずつ、物覚えが悪くなっていきました。その頃、実家を出て一人暮らしをしていた私は、帰省して祖父に会うたびに、毎回も同じことを聞かれるな、と感じていました。「今はどこに住んでいるの」「仕事は何をしているの」と、会うたびに同じ質問をされ、聞かれるたびに同じことを答えることを繰り返していました。

 この時点では認知症という診断は下りておらず、よくある高齢者の物忘れの範囲内だろうと思っていました。しかし、祖父の物忘れは次第にひどくなっていき、ついに認知症と診断されました。 

出来ないことが増えていく

 祖父が認知症と診断されてからは、家族みんなで、家で介護することになりました。身体は健康だったので、ベッドに寝かせたりお風呂に入れたりするような、力の要る介護は必要なかったので、家族で力を合わせればなんとか介護が成り立つものと思っていました。ごはんを作ってあげたり、お風呂をわかしてあげたりと、一般的な日常生活の手助けで事足りるだろうと思っていたのです。

 確かに、初めのうちはそうでした。しかし、認知症が進むにつれ、祖父は出来ないことが増えていきました。たとえば、ごはんを食べたことを忘れてしまいます。トイレの水の流し方を忘れてしまいます。薬を袋から出したり、玄関のカギを閉めるなどの、手先を使う細かい動作が、上手くできなくなっていきました。家族の名前を覚えられなくなってしまったときはショックでした。こうして、次第に、家族が思っていた以上の介護が必要になっていきました。

 すぐに訪問介護を頼み、家族が仕事でいない日中は来てもらうようにしましたが、この頃に祖母も入院し、そちらの世話も大変になったため、祖父には介護施設に入ってもらった方が良いだろうということになりました。それから祖父は介護施設に入り、他の入所者の方々と楽しそうに日々を過ごしています。家族も週に一、二回は会いに行って様子を見ていますが、家で介護していた時よりも、施設での生活の方が、祖父は生き生きとしているような気がします。施設に入ると帰宅願望が出る認知症入居者もいると聞いていたので、心配をしていましたが、それは杞憂に終わりました。

おだやかな日々

 祖父は、昔はとても頑固で怒りっぽく、自分の意見は絶対に譲らないし、怒るとすぐ怒鳴ったりするような性格でした。このような祖父の性格には家族も手を焼いていたのです。しかし、認知症になってから、その怒りっぽい性格がガラリと変わりました。今の祖父は、とても穏やかな人です。いつもにこにこしていて、頑固さもなくなり、怒鳴るところが想像できないくらいの穏やかな人になりました。会いにいけば嬉しそうに迎え入れてくれる祖父。誕生日を祝ってあげると、涙を流して喜ぶ祖父。昔は小言ばかり言い、けんかばかりしていた祖母に、今ではやさしい言葉をかけるようになった祖父。

 こんなに穏やかで幸せそうで、感性豊かな祖父は、昔は想像すらできませんでした。認知症になると性格が変わる、という話は聞いたことがありますが、ここまで正反対の性格になったのは驚きでした。それも良い方向に変わった例は珍しいと思いますが、どうなんでしょうか。通常は認知症になると怒りっぽくなる人が多い気がしますが、その辺りは統計がないので分かりません(笑)

家族の絆が深まる

 祖父が認知症になってから、家族の絆が深まったように感じます。実家を出て一人暮らしをしていた私は、自分の生活で精一杯で、家族に目を向ける余裕もなく、ほとんど実家に帰らない生活をしていました。しかし、祖父のことがきっかけで、頻繁に家族に会いに実家に帰るようになりました。

 祖父が元気な頃は、祖父母はよく夫婦喧嘩をしていたし、祖父と父の仲も悪く、常にいがみ合って、親子喧嘩も絶えませんでした。祖父はよく怒鳴る人だったので、喧嘩が始まると、家族全体の雰囲気が悪くなるので、家族は、祖父の存在を疎ましく思っていた部分もありました。しかし、祖父が認知症になり、あの怒りっぽい性格がどこかに消え、穏やかな性格に変わってから、家の雰囲気が明るく、穏やかになりました。家族みんなで祖父を介護しようという気持ちが強まり、家族が助け合う時間が増えました。そうなることにより、家庭内の言い争いも少なくなり、今までよりも家族が協力し合う関係になったように感じます。
  
  物忘れがひどくなり、日に日にできないことが増えて行ったときは、祖父自身もつらく、苦しかっただろうと思います。今ではにこやかに過ごしていますが、これからもできないことが増えていくかもしれないし、まだ苦しいこともあるかもしれません。それでも、家族を愛する心は忘れずにいてほしいと願ってしまいます。祖父が、できるだけ幸せな気持ちで余生を送れるよう、家族みんなで願っています。

[参考記事]
「アルツハイマー型認知症の症状と特徴について」

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