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認知症の在宅介護の厳しさ。真夜中に騒ぐ、1時間おきにトイレなど

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この記事は父親を介護している60代の男性に書いていただきました。
………….

 この記事では介護施設から在宅介護へ切り換えた経緯についてお話しします。

【居宅介護を考えたきっかけ】

 私は、在宅介護を甘く見ていました。なぜかというと、それまで父を預けていた介護施設の介護の仕方があまりにもひどかったからです。「あんな介護なら、私のほうが良い」と単純に思ったのでした。
私が介護施設に父に会いに行くと
① 父は車いすに座って、いつも寝ていました。
② 髭がぼうぼうで、剃ったこともこともないようでした。
③ 衣服もいつも汚れていて不潔でした。
④ 頭髪も汚く、お風呂にも入れていないようでした。
 そんな父を見て、私ならもう少しましな介護ができると思ったのです。

また、疑問点もありました。
① 施設で、鎮静剤を出してよいかという問い合わせがあったこと。
② おむついじりをするので、つなぎのパジャマを着せてよいですか、という問い合わせがあったこと。
③ 医療費がどんどん増えていったこと。
 私には、経済的な問題もありました。すでに退職して、年金暮らしです。貯金がたくさんあるわけではありません。父の年金のなかで介護ができないと、私の生活が崩壊します。医療費があがったせいで、父の年金では賄えなくなりました。

ベストな在宅介護はケアマネージャ次第

 結論を言うと、在宅介護をするには、よほどしっかりした支援体制がないとうまくいきません。私は不運にも最悪のケアマネージャーにめぐり合ってしまいました。そのため、最終的には在宅介護に挫折しました。では、どんなケアマネージャーさんだったら、良かったかと言うと(あくまで私が考える理想像です)
① 在宅介護を始める前に、父の状態を詳しく聞いて的確に把握できる人
② 初めて在宅介護をする人に対して、どんな在宅介護になるか明確に言える人
③ 父が落ち着くまで、こまめに訪問して、状態を的確に把握できる人
④ ヘルパーさんをいつ、どのような仕事で必要になるかを判断できる人
⑤ デイサービスあるいはショートステイを効率的に使うにはどうしたら良いか提案できる人
⑥ 父に合った効果的なリハビリはどのようにスケジュールするかプランできる人
⑦ 老人の代表的な病気については、最低限の知識をもてる人
⑧ 父の病状に合わせてどのような食生活をしたらよいか考えられる人
⑨ 父の病状に合わせて、薬の投与を適切に少なくすることを医師と相談できる人
⑩ 老人に常に声掛けして寄り添う気持ちをもてる人

 などがあげられます。残念なことに、私どもについたケアマネージャーさんは、上記の全ての項目のひとつもできなかったのです。

処方されていた薬を知らなかった

 父を介護施設から自宅に移した翌日に、居宅看護の医師が往診してくれました。医師は、医療情報を見て、「なんでこんなに抗精神病薬が出ているのか」と私に訊きますが、分かりませんでした。介護施設にいた時に処方されていたからです。よく聞くとリスパダールという興奮を抑える抗精神病薬などが使われていたそうです。

 施設長からは、お父さんが興奮気味なので、鎮静剤を出していいですかという話しか聞いていません。施設で、何があったのか不安になってきました。

在宅介護の大変さ。夜中に大声で騒ぐ

 夜、食事も終わり、トイレに連れて行って、オムツも取り換えて、気持ちよくなったのでしょう。眠りについてくれました。私も昼間の介護で疲れたので、ようやく眠れると思っていました。

 ところが、2時ごろから、「うー、うー」という唸り声が聞こえてきます。妻が心配になって、「お父さんが、うなってますよ」と私を起こします。父を寝かせてある部屋に行くと、布団をはいで、ベッドの柵にかけているのです。「お父さん、どうしたの?」と訊くと、「だれかが来るので戸締りをしていた」と言います。「誰も来ないから大丈夫だよ」と布団を父にかけなおすと、一応納得するのですが、また少し経つと、今度は「おーい、おーい」とさらに大きな声で呼びます。
「お父さん、どうしたの」
と訊くと、今度はなにか怒っています。
「すぐに50名、ひとを集めろ」
「お父さん、50名集めてどうするの」
「みんなに何をするか、考えてもらうんだ」
「そんなことしてどうするの」
「これから何をするか決めるんだ」
 午前3時です。今は無理だから、明日50名集めるからと言って寝かせました。
4時ごろになると、また騒いでいます。
「お父さん、どうしたの」
「だれかが、小便をした」
床をみると一面濡れています。
 オムツを脱いでお尻が出ています。ようやく私も施設でつなぎのパジャマを着せた理由が分かりました。

1時間おきにトイレ

 食事もよく摂るし、お茶も喜んでよく飲むせいか、1時間おきに、「おーい」と呼びます。トイレに行きたいと言うのです。トイレに行くには、車いすに移して、トイレまで連れて行かなくてはなりません。また便器に座らせるのに体を持ち上げないといけません。

 よく食べるせいか、体重が重たくなりました。妻とふたりで、ベッドから車いすに移すのも一苦労です。私は、腰の筋肉を傷め、だんだん苦しくなりました。妻も腕が腱鞘炎を起こしてしまったのです。それでも、やらないわけにはいきません。

 トイレの前で、妻が私に「しっかりズボンを持って!」と掛け声をかけます。私も必死で、父のパジャマのズボンを持って、妻の掛け声の「せーの」に合わせて持ち上げます。父も必死だったのでしょう。私のズボンのベルトをつかんでいます。「せーの」の掛け声で父は私のズボンを持ち上げようとしています。これには私も笑ってしまいました。「お父さん、僕を介護しなくていいんだよ」

 用がすんで、オムツをして、ズボンをはかせて、また車いすに戻すのも、一苦労です。ベッドまで移動するとまた持ち上げなくてはなりません。その作業が1時間ごとに来るのです。

 これでは、24時間、父の面倒で起きていなければならず、私も妻も自律神経が乱れて体調がおかしくなりました。ケアマネージャーさんは、「夜中のヘルパーはどうですか」と言ってきます。静かなマンションで、夜中にバタバタと音をさせれば、苦情がくるに決まっています。ヘルパーさんが来るなら、こちらも寝ているわけにはいきません。

 ケアマネージャーさんは、「デイサービスはどうですか」とも言いますが、送り出したかと思えば、すぐに帰ってくるような時間です。ほんのわずかな休憩がとれるかもしれませんが、気の休まることはありません。夜になれば、また大きな声で騒ぎ出します。

 私は、医療看護の医師に相談しました。「わかりました。リスパダールを2倍にしましょう」リスパダールを倍にしたら、おとなしくなりました。ところが、薬が効きすぎて、意識がもうろうとしているのです。食事をさせようにも、眠ってしまうで、口に持っていっても食べません。水分を摂るのも難しくなったのです。これでは脱水症状になってしまいます。

 薬を減らせば騒ぎ出します。薬を与えれば意識が朦朧になります。これでは、父も私たちもお互いに、うまくいきません。結局はまだ介護施設にお世話になることになり、在宅介護の厳しさを思い知りました。

[参考記事]
「[認知症介護体験 今野さん編①]徘徊で横浜から伊東へ」

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