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認知症によりティッシュを食べてしまう異食への対応

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・入所までの経緯

70代女性のM様はアルツハイマー型認知症と診断され、数年前にご主人を亡くし、息子夫婦と同居をしていました。
ある程度の意思の疎通は可能でADL(日常生活動作)も「ほぼ自立」でしたが、徘徊がひどく家から何キロも離れた所で保護されることもありました。
鍵を閉めても自分で開けれるだけの能力は十分あり、また息子夫婦は仕事が忙しいため在宅での介護が困難ということで特別養護老人ホーム(特養)に入所されました。

・施設での様子

施設に入所されてからは夕方になるとほぼ毎日フロアを歩き回られ、エレベーターの前で扉が開くのを待っていたり、「外に出るにはどこから出ればいい?」といった発言が聞かれていました。
その都度職員が声がけし、落ち着くまで一緒に話をしたり、たたみものを手伝ってもらうといった対応を行っていました。
夕食を食べてしまえば徘徊はなくなり、周りのご利用者とお話しされたりテレビを見たりして穏やかに過ごされるといった生活リズムができていました。

・間違ったケアにつながるかもしれない対応とは

ある日の夜勤者が、夕食後食堂でテレビを見ていたM様が口を動かしていたので口の中を確認したところ、ティッシュを丸めたものをクチャクチャと噛んでいたということがありました。
職員はすぐにティッシュを口から取り出し、近くにあったティッシュの箱をM様の目の届かないところにしまいました。
無理に口から出されたM様はしばらく不穏な様子が見られたようです。
異食ということで「事故扱い」となり、最初に回ってきた事故報告書の対策蘭にも「ご利用者の目の届く範囲にティッシュは置かない」という内容が書かれていました。
翌日、別の職員がなぜティッシュを噛んでいたのかをM様に聞いたところ、「歯がざらざらして気持ち悪かった、ティッシュを噛んでると綺麗になるのよね」と言って歯を見せてくれたそうです。
ティッシュを飲み込むという気は全くなかったとのことでした。

・認知症だからといって周辺症状だと決めつけない

今回の場合、単にティッシュを口に入れて噛んでいたという部分だけを見てしまうと「異食」ということになってしまいます。
認知症があるからと言ってティッシュを噛むという行動を最初から周辺症状として捉えてしまうと、「歯を綺麗にしたいという意思」を無視してしまうことになります。
ご本人にとってはごく自然な行動かもしれないということを念頭に置いておかないと、ケアの方向性が違ってしまい、余計に不穏になり別の周辺症状が出てくるかもしれません(参考記事「認知症の周辺症状ってどんな症状なの?」)。

・対策を多職種で再度検討する

最初の事故報告書の対策を見直し、食後の歯磨きの時にもう少ししっかりと磨いてもらうように声がけをすることや、「歯磨き用ティッシュ」をそばに置いておくなどの対策を実施しました。
M様は一回、歯磨き用ティッシュを試していましたが、その後は使おうとはされなかったので止めました。
歯磨きはご自分でされていたので特に介助はしていなかったのですが、この件の後からもう少し丁寧に磨いてもらうように声がけを増やしたり、少しお手伝いをするようにしています。
現在は紙ティッシュを口に入れることはなくなっています。

認知症がある・ないに関わらず、まずはその人がどういった目的で起こした行動なのかをアセスメントすることが重要ということを改めて認識できた事例でした。
特に特養では認知症の方が多く、職員の都合で業務を行ってしまいがちです。
周辺症状を単なる問題行動ととらえず、その方からのこちらへのコミュニケーションだと考えることが楽しい介護につながるのではないでしょうか。

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