Read Article

広告

認知症患者の暴力が酷くて個室隔離したが、症状が悪化(実例)

広告

 

アルツハイマー型認知症で現在も精神科の認知症治療病棟に入院しているAさん(80代の男性)のお話しをします。
Aさんは平成24年にアルツハイマー型認知症を発症し、当時は些細な事で家族に怒り、暴力行為を振るうようになり、自宅では対応困難となり当院に初回入院となりました。
Aさんはオムツはしていますが、自立歩行は可能です。
入院中は穏やかで落ち着いていたこともあり、3か月ほどで退院をし、特別養護老人ホームに入居しました。

しかし、入居先の施設職員に暴力行為(スタッフの首を絞めるなど)があった為に対応困難になり、1ヶ月程度でまた、当院に再入院になりました。

暴力行為に対して行った対策でさらに悪化

特別養護老人ホームに入居する前の会話の内容は、支離滅裂でありますが、こちらからの指示(こっちにきてください。トイレはこちらです。ベッドはここですよ。など)は認識でき、痛みの伴う採血などの医療行為も本人に説明することで、体幹や腕などの固定などなしで拒否なく実施できていました。
しかし、再入院後のAさんは、これまでと別人のように拒否するだけではなく、表情を豹変させ怒り、スタッフに殴りかかるようになっていました。
そのため、スタッフ数名で体や腕を抑えながらの介助が基本となりました。
そして、その暴力行為を抑えるために抑肝散という副作用の少ない漢方薬で感情をコントロールしようと薬剤調整をしていました。
しかし、効果がなく、ホールで他の患者と食事をしていた際、お互いの話が合わなくなったことがきっかけでその患者に怪我を負わせてしまい、他害の危険が高いという事で、個室での隔離対応となりました。
個室隔離は扉に施錠をしてあり自分の意思では出られません。

隔離中は、小さい室内を徘徊するか、ベッドに横になるかしか、やることがなくなりました。
そのため、スタッフ以外からの刺激(外部)がなくなり認知機能の低下が激しくなっていきました。
具体的には、認知機能が低下したことで食事も食事としての認識はあっても自分でどうやったらいいか分からずに食事を摂取しようとしなくなりました。
また、トイレも室内にポータブルトイレを設置していましたが、トイレという認識がなくなり失禁するようになりました。
そのため、食事やトイレなどの際に介助しようとすると当然拒否をし、怒り、暴力をする行為が増えました。

対応の改善

そのため、一時は強く鎮静がかかる精神薬が開始されました。
しかし、食事介助時やオムツ交換時の暴力が無くなった代わりに、鎮静がかかりすぎて思うように体が動かしにくいためにベッドに横になる時間が増えていき、居室から出そうとしても出てこないようになり、食事も摂れず次第に衰弱していきました。

その際、今後についてカンファレンスを実施し、他患者様に危険があっても刺激を与えるほうがいいという考えにまとまり、食事などの際少し強引でも思い切ってホールに連れて行き、徐々にいる時間を増やしていきました。
危険防止策としては、すぐにスタッフが介入できるようにAさんのそばにいるようにし、他患者様に危険が無いように細心の注意をして観察をしていきました。
ホールに行くようになって数日経つと次第にAさんにも変化がみられるようになりました。
具体的には他患者様と会話するようになり、さらには棟内を歩くようになったことで、活動量も増え、食事も摂取するようになりました。

摂取方法は初めは食事介助でしたが次第に量が増え、最終的に自分でスプーンを使い摂取できるところまで回復しました。

しかしまだ、他患者と会話している際に怒って暴力になりそうな時もしばしばありますが、そのような時にはスタッフが代わりに謝罪をし、スタッフがその患者様とAさんの間に入って会話するようにしていくと徐々に他患者とのトラブルは減少していきました。
トイレ介助についても、オムツは使用していますが、無理強いするのではなくAさんに合わせて介助するようにしたりすることで、ポータブルトイレに便や排尿も見られるようになるなどの変化がありました。

やはり、認知症患者様にはスタッフだけでなく、他患者様などとのコミニュ二ケーションやレクレーションなどさまざま刺激がある中で生活することが大切であると痛感いたしました。
現在も完全に暴力がなくなったわけではありませんが、大きなトラブルなく落ち着いて過ごされております。

[参考記事]
「アルツハイマー型認知症を患った校長先生が妻に暴力」

URL :
TRACKBACK URL :

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

Return Top