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デイサービス(認知症)への拒否が声掛けを変えるだけでなくなる事例

 

 家では面倒を見ることが困難になったとのことで、有料老人ホームに入居されてきた認知症の男性Aさん(86歳)。家で見ることが困難と言われていたのでどんな症状の方なのか心配していましたが、物忘れが少しあるくらいの、しゃかしゃかと歩かれ礼儀正しい人でした。

 ケアマネージャーが他事業者のデイサービスの利用を勧めるも、「私はそんな所に余り行きたくないんだよね。私が行っても皆さんに楽しんでもらえるか分からないから」と乗り気ではありませんでした。

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会議に行くと言い出すAさん

 急変したのは1ヵ月経ったある日の夕方でした。カレンダーを見ながらソワソワとされているAさん。

 どうされたのか尋ねると「私は今から会議があるからそこに行かなければならない。」とのこと。

 もちろん、そのような予定はありません。だが、荷物をまとめスーツに着替えて今にも外に出ようとされているので、その時は、その場しのぎで「今日の会議は日付が変わったと連絡ありましたよ。」と声をかけ、納得して頂き施設で過ごしてもらいました。

 その次の日から、Aさんは「会議に行かなければ」を繰り返されるようになりました。

「デイサービスの拒否」「会議に行かなければ」に対する対策

 ご家族とお話させていただき、Aさんは昔町内会の会長をされていて、人の前で話すのが好きで、人の世話を焼くのも好きだったと聞きました。会社でも部下に信頼をされていて、よく頼られていたとのことです。

 そこで、カンファレンスを開き、「デイサービスに行きたがらない」ということと「人の世話をする」ということを結びつけることにしました。

 Aさんがデイサービスに余り行きたがらないのは「自分が世話をされる場所だからではないか」との意見が出されました。今までは自分が世話をするためにどこかに出かけていたのに、今回は世話をされる側になるのは嫌だという気持ちがあるのかもしれない。

 そこで、デイサービスへ行く際の声掛けを変えさせていただきました。今まではデイサービスに行く際に、「今日はデイサービスの日ですね。着替えましょうか〜」と声掛けをし、普段着に着替えてデイサービスのスタッフに迎えに来ていただいてました。

 それを「皆さんAさんに来て頂きたいとのことなので、行って来て頂いても大丈夫ですか?」との声掛けに変更しました。

 そうすると、Aさんは「そうか。よし着替えて行こう」と自分からスーツに着替え、身だしなみを今まで以上にしっかりされ、デイサービスのスタッフが迎えに来た車へ自ら乗られました。

対策に対する効果

 デイサービスから帰ってきたAさん。今まではデイサービスに行くのも渋々でしたが、帰ってきたAさんは「楽しかったよ」と帰ってきました。

 デイサービスでの様子を職員に伺うと「今までは余り喋られなかったAさんが良く話されていた」とのこと。今までは、自分が世話をされに行くのだからあまり喋ってはいけないと思われていたのかもしれない。

 今回は「お世話をしないといけない」という状態でデイサービスに行ったので、「自分が喋ってもいいのだ」という気持ちの変化があったのかもしれません。

 これを何度かデイサービスの前に行ない続けた結果、「デイサービスの日=お世話をする日」となり、デイサービスへ行くのも渋々だったのが、その日を楽しみにされるようになりました。

[参考記事]
「デイサービスへ行きたくない認知症高齢者に対する対応」

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