この記事は家族で協力して曾祖母を介護している人に書いていただきました。
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曾祖母の認知症を悪化させる存在がいました。それは曾祖母の実の妹です。曾祖母の5つ下の彼女は70代でも自転車を乗り回し、我が家にやってきました。曾祖母の実の妹と曾祖母の末娘が共謀して曾祖母の貯金を盗んだことは「認知症介護体験 中野さん編②認知症発症の原因は人間関係」の記事で書きましたが、彼女たちはそのような人格を持っています。
曾祖母が認知症になる以前から度々曾祖母の実の妹と末娘は行動を共にし、親戚の集まりがある度にトラブルを引き起こしていました。曾祖母は実妹のことを信頼していましたが、私たち家族は実妹は曾祖母を使って我が家を掻きまわす存在と考えていました。
彼女(実妹)は末娘が曾祖母のお金を盗んでからはしばらく曾祖母の元へ来ることを止めましたが、ほとぼりが冷めた頃また足しげく我が家に通うようになりました。曾祖母が穏やかに暮らしているのに声を荒げて情緒不安定になるのは決まって実妹が来た日で、私たち家族は近隣の方から「今日実妹さん来てたよ」と聞いて知ることが多かったです。曾祖母の実妹が曾祖母の認知症が悪化したことに関わっているように見え、家族の心は穏やかではありませんでした。
たまに訪問介護で来ていたヘルパーさんと実妹が会話することもあったようで、ヘルパーさんの連絡帳に記載がありました。ヘルパーさんに私たち家族の悪口をたくさん吹き込んだせいで、ヘルパーさんの私たちを見る目が少し変わったように思いました。
「曾祖母にあまりご飯を食べさせていない」
「曾祖母を口悪くののしっている」
「曾祖母をたまに叩く」
などありもしない事を言っていたのです。
認知症とは人との関わりで進行が止まることもあれば、悪化することもありますので、一人でも介護に協力的でない人がいると本当に迷惑な話なのです。
認知症に理解がなく、協力が少ない父
私の祖父祖母は早くに亡くなり、曾祖母の介護は必然的に父母がキーパーソンでした。特に母は曾祖母が糖尿病を発病してから食事コントロールをしたり、インスリンの注射の準備をし、また若い時から曾祖母は自室でポータブルトイレに排尿する習慣があった様でその後始末もしていました。それに加え、認知症の物盗られ妄想などの周辺症状もありますので、いくら私が手伝っても軽減されたと感じたことはないでしょう。
父はもともと曾祖母が嫌いだったのもあり介護には一切手を貸さず、せいぜい通院時の運転くらいでした。父は曾祖母に対する対応も悪く、曾祖母の物盗られ妄想に関して怒鳴りつけたことがあります。曾祖母が私たちに「化粧水やアロエクリーム、パンツを盗ったでしょ」と言った時です。怒鳴られた時には曾祖母は泣きながら引き下がりますが、私たちへの攻撃を止めるわけではありませんでした。
認知症の悪化の原因はこのような対応にもあるのですが、認知症の対応について姉や私が父にアドバイスしようとすると「俺は全部知ってる」と言い返され、全く改善しようとしませんでした。その跳ねかえりは曾祖母の周辺症状の悪化として母に向かい、とうとう円形脱毛症にまで発展してしまいました。家族に一人でも協力的ではない人がいると誰かが被害を被るのです。
認知症の人を取り巻く人間関係
認知症の症状は理性では抑制が効きません。頭では「認知症は病気だから、怒ってはいけない」と思っても、つい「同じ話を何度もするな」などと普通の人と同じ感覚で接してしまうことも珍しくありません。
介護をしている人の精神状態を平静に保つためにはどのように「横のつながり(協力体制)」を作っていくのかが非常に大切です。家族、ヘルパーさん、デイサービス、ショートステイなど相談できる色々な人達の協力がないと介護は成り立ちません。
一人で抱え込んでいる人もいますが、その結果、ニュースにもなる介護疲れ殺人などに発展してしまう可能性もあります。殺人までいかなくても暴力をふるってしまうこともあるかもしれません。そうならないためにも早めにSOSを出すことが必要です。母も円形脱毛症になってしまっていますので、そうなる前にケアマネジャーさんなどに協力要請をすべきでした。介護する人までが病気になってしまってはお互い不幸ですので、早めの行動が必要かと思います。
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