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認知症にいる弄便行為。壁一面に大便を塗る事例

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 アルツハイマー認知症の80代のT様(女性)は、若い頃、ご主人の本家に嫁ぎ、農業を営んでいました。現在は、ご主人様と娘夫婦が農業を営んでおり、2世帯で同居生活を送っています。デーサービスを利用し3年が経過した頃に、物忘れや見当識障害(場所、日時が分からなくなる)が出始め、軽度の認知症と診断(見当識障害)を受けました。施設では特別問題もなく楽しく過ごされています。

【施設での生活】

 自宅での転倒により左膝を痛め、膝用のコルセットを着用しています。この時から、外出時は歩行器(介護用の車輪の付いた器具)を活用し散歩や買い物に出かけられています。施設内の移動も歩行器を活用して移動を行っています(施設のフロアーは約150坪程)。
 トイレの利用時は、近くの職員に「トイレ!」と声掛けして利用されています。歩行が不安定な為、歩行時の見守りに職員があたるためです。

【トイレが間に合わない】

 施設では「トイレ!」と職員に声掛けをしましたが、間に合わなく、漏らしてしまうことが多くなりました。これは失禁ではなく、「トイレ」と声をかけた場所からトイレまでの距離が遠かったことが要因でした。対策としては、歩行の不安定な利用者(T様含む)は、直ぐにトイレに行ける近場に座ってもらうことにしました。その後、他の利用者も含め、間に合わないということはありませんでした。

【しばらくして失禁発生】

 自宅で失禁をする機会が増えて来たとの事で、ご家族は「衣類を汚されると面倒」「本人に意識をしっかり持ってもらう」という観点から、紙おむつ(リハビリパンツ)を活用するようになりました。我々は家族の意見を尊重しました。T様自身も失禁やトイレに間に合わず迷惑をかける事に対し、すごく嫌な事として強い意識で取組み始めました。紙おむつ(リハパン)を利用するようになり、顔色も良く、不安なく過ごされるようになりました。

【トイレから出てこない~弄便症状が起きる】

 施設でいつものように「トイレ!」と声掛けをして職員と一緒にトイレに行きました。通常、トイレの便座に座ってもらうまで、職員が付き添い扉を締めます。そして便座に座ってもらい、用が終わったらナースコールを押してもらうことになっています。

 ある時、いつになく長いと職員間で感じていたので、何度となくトイレの外から声掛けし状況を把握していました。中からT様の返答もあり大丈夫だと思っていました。返答はありましたが長すぎる為、外からカギを開けて中に入ると壁一面が大便で塗られていました。もちろん両手大便で汚れており、衣服も汚れた手で拭いたため汚れていました。トイレ内は強烈な悪臭で充満していました。他の利用者に分からないように浴室に連れて行き、洗体し着替えさせ送迎車で送り届けました。

 突然のことで我々もびっくりしましたが、当日、ケアマネージャーと家族と一緒に冷静になって話す機会を設けました。自宅及び施設での兆候はなかったのか? よく話しましたが、特別、思い当たる点がありませんでした。今後は、しばらく様子を見ながら検討していくことになりました。

 検討してみると、認知症が進行する中で一部発症する人がいる「弄便」の疑いを持ちました。「弄便」とは、大便を手で掴んで周囲に投げたり、壁にこすり付けてしまう事です。主に原因として、紙おむつ(リハパン)に大便をした際、不快感を感じて介護職員に伝えられなくて手で紙おむつ(リハパン)内の大便を触って不快を取り除こうとすることが挙げられます。しかし、今回のケースは、職員がトイレに連れて行き便座に座らせる際には、当然、紙おむつ(リハパン)を下して座ってもらっています。便器の中に手を突っ込み、弄便行為を行った点が稀なケースです。

【対策は声掛けと見守り】

 今まで見られなかった行為だけに、かかりつけ医からは、心理的なストレスが弄便行為に結び付いたのではないかとの事でした。対策としては職員がトイレの外から中の様子を耳で澄まして聞くようにしながら、声掛けを行い、対応しました。排便した後の時間が長いと、弄便行為が繰り返される可能性があると考え、「排便が終わりましたか?」と声掛けし、終わっているようでしたら、「とびら開けますから、そのまま座っていてください」と声掛けし、T様の了解のもと排泄の処理をする事にしました。こうして声掛で様子を観察することで徐々に改善されました。尚、自宅では家族がうるさく見守っているため弄便はありません。

[参考記事]
「認知症介護:便を顔に塗る弄便や便を食べる異食行為への対応(実例)」

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