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記憶障害のある認知症の人による他入居者への問題行動

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 Aさんは夫を亡くしたあと、自宅で一人生活をしていましたが、認知症の中核症状に当たる記憶障害や見当識障害が見られるようになってきました。

 自宅で一人過ごすのを心配したAさんの家族は、ケアマネジャーに相談し、老人ホームに入居する事になりました。

優しい性格で、施設入居にも抵抗がない

 Aさん記憶障害や見当識障害が見られますが、身体状況や病歴については特別問題ない人でした。

「非常に優しく穏やかな性格で、面倒見が昔からよかった」という基本情報そのままで、他の入居者の方にも、介護スタッフに対してもとても低姿勢で、介護の拒否なども全く見られません。

 もちろん、認知症の症状はありますので、同じ事を繰り返し話されたりする事はありますが、こちらが「入浴の時間です」「食事の時間になりました」等とお伝えすれば、「ありがとうございます」と、いつも笑顔で話をしてくれます。

 入居をする時に抵抗する事もなく、本当に問題点がほとんどないような方でした。

他の入居者に対する問題行動

 Aさんが入居して2か月くらい経った頃から、おかしな事が起こるようになってきました。

 夜勤帯の時間は介護スタッフが3名で対応するのですが、夕食が終わり、食堂から各階に入居者の方を誘導する仕事があります。

 その際に、3階にいる入居者の方がフロアからいなくなっている事が時々見られるようになったのです。

 フロアからいなくなっている入居者は決まって車椅子の方で、こちらが介助しないと自分で居室に戻れない方ばかりでした。

 その方がいないので、あわてて居室に行ってみると、ベッドで横になっています。

 最初は他の階で介助をしている夜勤者が手伝いに来てくれたのだろうと、スタッフ全員が思っていましたが、ミーティングの時に事態が発覚したのです。

優しさが問題行動になってしまう

 「夜勤の時間帯で、他のスタッフが手伝ってくれるのはありがたいのですが、ベッド横に車いすを置きっぱなしにしないで下さい。自分で車いすに移乗しようとしたら大変危険ですから」と、あるスタッフが言いました。他のスタッフも「そうそう」「時々あるのよね」と、話し始めました。

 そもそも誰がやってくれているのか?そこについても話をしましたが、誰も行っていないと言うのです。

 しかも決まって3階の入居者がいつも知らない間に居室に誘導されているという事で、「もしかしたら入居者が行っているのかもしれない」という事で、防犯カメラを確認してみた所、Aさんが他の入居者の車いすを押して、部屋に連れて行っている事が発覚したのです。

 最初はAさんに対して、他の入居者を居室に連れていく事は危険だという事を伝えて様子を見ていたのですが、認知症による記憶障害がありますので、また同じ事をしてしまいます。

 Aさんとしては、自分で動けない人が可哀そうだからと、その優しさのために取ってしまう行動の為、「他の入居者を部屋に誘導させてはいけない」という内容を忘れてしまえば、また同じ行動を繰り返してしまうのでした。

 優しさから現れる行動に対して注意をするのは心苦しいですが、他の入居者に対して何かあってからでは遅いのです。

対応方法について

 認知症の記憶障害により忘れてしまうことで行なってしまう行動であり、防ぐのが難しいと判断したスタッフは、Aさんには食後すぐに居室に戻らずに、最後にスタッフと一緒に3階へ上がる事にしました。

「体調の悪い人を先に返してあげたいので、少しだけ待ってもらえませんか」と話すと、Aさんは「全然かまいません、先に返してあげてください」と笑顔で話してくれたのです。

 車椅子の方達を先に各階にお連れした後、スタッフと一緒に3階へ戻り、その場でAさんに車いすの誘導は危険である事を伝えると、その行動はなくなり、問題解決となりました。

 優しさが問題行動に繋がるなんて、思っても見ませんでした。Aさんの優しさを否定しないように、適切な対応をその場で行う事で、事故に繋がる前に対処する事が出来た体験でした。

[参考記事]
「ヘルパーが閉口してしまう認知症による問題行動(部屋に水をまくなど)」

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