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認知症による徘徊と見当識障害のある女性に対する対応

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Kさん(98歳・女性)は、脳梗塞の後遺症による脳血管性認知症が顕著に見られるようになり、在宅では見守りが出来ないとのことで施設に入所されました。
入所時の情報では、「帰宅願望はあるが、家に帰れないことは分かっているため、話をする相手がいると落ち着く」と聞いていました。
やはり、入所当日より車椅子を歩行器代わりに押しながら歩かれる姿が見られました。
声掛けすると落ち着くとのことでしたので「少し休んでおやつ食べましょうか?」と声掛けするも、険しい表情で「歩かなあかん。歩かな怒られる。さっき先生に歩かんから足が弱くなったと言われた」と徘徊を続けられました。
その件をご家族様に聞くと、「5年ほど前に尿路感染で入院した時に先生に言われたことを今もずっと言い続けている」との情報をもらいました。
そのため、歩くという強迫観念があり、何を言っても徘徊が続きました。
また、日中ずっと歩かれているので夜間は休まれるかと思いましたが、ベッドに横になってはすぐに起き上がり、車椅子を押しながら食堂などを歩かれることを何度も繰り返しほとんど休まれることは無かったです。

歩くという強迫観念への対策


対策1
まずは歩くという強迫観念が頭から離れるようにするためにはどうすればいいのかを考えました。
昔は専業主婦で編み物を趣味でされていたとのことから、家族様に協力をもらい、やり慣れた編み物を持ってきていただき、Kさんに手渡しました。
しかし、「こんなんいらん」と拒否されたためそっと居室の棚に置き、しばらく離れて様子を見ると編み物を手にとり、ベッドに腰掛け編み物を始めました。
編み方などの手順は覚えられており、慣れた手つきでかぎ針を使用していました。
認知症になっても作業記憶は衰えにくいとは聞いていましたが、本当にスラスラと編んでいました。
対策2
その他には、少しでも休んでいただけるように「歩く事も大切ですが足もずっと働いていたら疲れてしまいますよ。少し休ませてあげましょうか?」と歩くという行為を否定するのではなく、歩くことは良いことであることを前提に足を休ませてはどうかと声掛けをしました。
すると「そうやな」と椅子に座っていただけることも多くなりました。
また、歩かれている最中休むことが出来るように歩く場所に添って椅子を何個か置くなど配慮をしました。
椅子に座られている最中にお茶を勧めたり、昔の話をしたりすることで歩かないといけない強迫観念が少しずつ頭から離れてきました。
対策3
そして、次に夜間をどのようにして休んでいただくかを考えました。
まず就寝する少し前に椅子に座っていただいた際に本人様が好まれていた温かい生姜湯を提供し、疲れている足をホットタオルで温めることとしました。
それでも、歩かれる場合も多かったので1~2週フロアを一緒に周り、「今日も一日お疲れ様でした」と声をかけてみることにしました。
すると「え?今朝やろ?もう起きとかなあかんやろ?」と言われました。
その時初めて昼夜の区別ができにくくなっている見当識障害があることに気づきました。
本来はもっと前に知っているべきことでしたが、この時初めて見当識障害を確認しました(見当識障害については「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」)。
日中、部屋に日差しが強く入る為、カーテンを閉めていることが多かったためだと思いました。
なので、夜は「暗いのでカーテンを閉めますね」と外が暗いことを見ていただき、朝の起床時は「おはようございます」と日差しが差し込むまでカーテンを開けることとしました。
そうすると「本当やね。真っ暗やね」と休んでいただけます。
今でも夜間何度か起きて歩かれているも、昼夜の区別をはっきりさせることと、徘徊に対して否定的な声掛けでは無く、どう思われて歩かれているのかということを考えて、声をかけるようにしています。
そうすると、本人様の意図した思いを聞くことが出来て、お互いがイライラすることもなく良い関係が築けています。

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