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認知症による夜間徘徊の原因とそれに対する対応事例

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 A様(80代の女性)は、アルツハイマー型認知症を患われています。長く長男夫婦と住んでおられましたが、その後、独身の長女宅で1年ほど一緒に住んでおられました。10年ほど前にご主人を亡くされ、その後は息子夫婦と同居されていたのですが、認知症の症状が進んでいくうちに、介護を主にしていた長男の妻とうまくいかなくなり、実の娘の所の転がり込んだ状態でした

 長女も自分の仕事をしながらの介護に限界を感じ、私が勤める住宅型老人ホームに相談に来られました。生活が苦しく、年金額も少ないため区役所に生活保護の申請をしての入居でした。長女は看護師の仕事をされていたため、認知症にも理解があり、母の状況はおおよそ把握されていたようです。

入居当初は帰宅願望

 入居が決まり、初めての夜のことです。バッグに衣類を詰めて「帰ります」と部屋から出てきてしまう帰宅願望が強く出ました。玄関で数十分お話をして、とりあえず今日はここに泊まりましょうとお願いして何とか就寝の床についていただいていました。そんな日が一週間以上続いていました。住宅型であるために、施設のようなケアはなかなかできません。A様のために、夜間の時間にヘルパーさんを就寝介助で入れようと検討したこともありました。帰宅願望は一般の人にもありますので認知症特有な行動ではありませんが、ここは責任ある施設です。放って置くことはできないのです。日中は、比較的穏やかな方で、デイサービスは毎日行っていただくよう手配しました。同じ敷地内にあるデイサービスでは穏やかに過ごされます。

 長女さんからの話でも、人と接するのは好きで社交的ですが、夜になると寂しがり屋で、なかなか一人で寝てくれなくて夜勤の仕事に行けなくなってしまったという話を聞かされていました。こういう状態で施設にいるわけですので、帰宅願望が出るのは当然です。

育った環境を思い出す郷愁感

 そんな夜勤泣かせの日がひと月ほど続きましたが、ある職員にとても懐いてくれていることが判りました。その職員は夜勤専門で、その利用者と同じ熊本出身の人でした。お国訛りや自分の育った環境が同じだったせいか、心を開いてくれるようになっていきました。その後職員の顔も覚えていただけたのか、少しずつ言葉も柔らかくなり、帰宅願望はまれに出る程度で少なくなっていきました。

 ただ、夜間自分の部屋から出て、廊下を徘徊する行動は減っていません。バッグに荷物を詰めて持ち出されることは無くなりましたが、夜間の午前0時や3時ごろ、頻繁に廊下の徘徊が続いていました。早いうちにドアのセンサーを付けており、部屋から出ておられるところに職員が行くと、暗い中ではじめは妄想的な言葉もありますが、部屋に帰りお話しすると落ち着かれる、そんなことが繰り返されました。

 初めは緊張が多かったようですが、職員にも顔なじみが増え、少し安心されたのか、今度は、夜間徘徊と失禁がセットで起こるようになってきました。

夜間徘徊の原因になっていた尿意

 夜勤の職員で集まり、どうゆう状況が多いか検討し、その方の夜間の生活パターンを構築しました。夕食後すぐに眠くなられることは無く、しばらくゆっくりされます。その時も寂しくないように、こまめに声掛けをしていきます。夜9時、眠前薬の服用があるので居室に訪問し、しばらくお話をして、ある時は添い寝して体を休めていただくようにしました。A様は寂しがり屋だという長女のお話しを聞いて、添い寝をしてみようと考えました

 そのあと約3時間後午前1時頃、お部屋を訪ね、眠っていても一旦声掛けをし、目覚めるようならトイレに誘導し、安心して眠って頂ようにしました。次は朝5時ごろ同じようにトイレに誘う。この流れを夜勤職員で試してみました。

 何回か試すうちに、夜間の失禁はなくなり、徘徊の回数も激減していきました。夜間起きてしまう原因の一つに尿意がありました。その時間が計算できれば、質の高い眠りを実現することが可能になります。もちろん、これがベストであるかどうかは、もう少し検証が必要ですが、一つの例として考えていただければと思います。

[参考記事]
「徘徊によりトラブルを起こす認知症入所者に対する対応」

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