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[認知症] 汚れた下着や物を隠す理由と対策

 

 認知症の方が下着や物を隠すのはよくある行為ですが、その理由と対策について解説していきます。

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下着や物を隠すケースの共通点

 私の経験上では認知症の方が下着や物を隠す場合、大多数のケースで共通点があります。

①下着を隠す場合、大抵、尿失禁や便失禁で汚れています。

 汚れてしまった→何とかしないといけない→汚れていて気持ち悪いから脱ぐ→しかし、汚れたことを知られたくない→隠すという心理が働きます。

②物を隠す場合では、物に対する非常に強い執着心を持っています。

 ここで言う物とは貴重品であることが多いです。あくまでも私の一意見ですが、認知症であるがゆえの言動を周囲に受け入れてもらえなかった結果として、介護者との信頼関係にヒビが入り、「物による自己防衛」を図ろうとしているのではないかと感じます。

 「物による自己防衛」と表現したのは、ある認知症の方(比較的もの盗られ妄想が目立ち、家族との関係性も著しく良くない方)がよく「物は裏切らんからな。お金を持っていたら頼らずに済む」と言っていたからです。「関係性のよくない家族に頼りたくない」という自分の考えや生き方を通す為の手段としてお金や物を捉えているという意味です。

隠す行為はどんな問題に発展し得るのか

 物を隠す場合は、隠した事自体を忘れてしまう「もの盗られ妄想」に発展する恐れがあります。「もの盗られ妄想」とは認知症の人が物をどこかに置いたにも関わらず、身内などの身近な人が盗んだと思ってしまう事です。そうなれば関係性にヒビが入り更に物を隠すという悪循環に陥ります。

そうならない為にはどうすれば良い?

 汚れた下着を隠す行為は衛生的な問題もあり、特に防げるのであれば防ぎたいです。その為にはパンツを汚す前に排泄をトイレでしてもらうように誘導することが一番です。

 排泄パターンを数日間データ化する事で、大体何時くらいに排泄するのか、その人個人のパターンが見えてきます(稀にパターンが見出せない人もいます。私は8年間の介護職生活で1人だけ会ったことがあります)。

 その見えてきたパターンに沿ってトイレに誘導する事で、パンツの汚染自体を防ぐことができます。これこそが「排泄ケア」であって、汚染したものを変えるのはただの後処理です。職業介護人ならば尚更、後手に回り、交換するだけの後処理を排泄ケアとは、呼べません。

 物を隠す場合においては行動と態度で「受容」を伝え続けることで、関係性の再構築を図ります。相手を否定すれば自分も否定され、相手を肯定すれば自分も肯定されるという関係性です。否定ではなく受容の態度を示すことで認知症の方が疎外感を感じずに、安心して過ごすことができる場所となれば、物を隠す行為が減っていきます。

 認知症になっても安心して暮らせる社会の実現には、介護職の質の向上はもちろんですが一般の人が認知症の理解を深めることが必要です。

[参考記事]
「認知症状を改善する方法[不潔行為編]」

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