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長谷川式スケールの点数だけで判断しきれない「まだら認知症」

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住宅型有料老人ホームに入所してきたSさん(80代前半男性)は、それまでデイサービスを週3回利用していた方でした。
若い頃に離婚を経験しており、息子と2人暮らしでしたが、近年息子が独立し、遠方に住んでいたため一人暮らしの状態でした。
そんな年末のある日、自宅の近所を裸で歩いているところを警察に保護され、Sさんは緊急で有料老人ホームに入所されたという経緯がありました。

入所利用時の長谷川式スケールの点数

私の勤めていた有料老人ホームは、看護師もおり、ケアマネジャーからの情報を元に、長谷川式スケールを実施していました。
長谷川式スケールは年齢や日付、計算や物の有無の記憶などを回答してもらい、認知症の目安につなげるテストです。
Sさんの結果は6点でした。

急速に認知症が進んでいるのかもしれない状態だと考え、職員にも周知が行なわれました。

入所後の生活

Sさんは特に帰宅願望もなく、会話も比較的スムーズで、自分の服用している薬まできちんと把握していました。
自身のこだわりとしては、複数の病院を受診しながら、薬の効き目などを調べており、職員に対しても薬のことをよく質問していました。
住宅型有料老人ホームは場所によって職員の体制はずいぶん異なりますが、私の勤めていた場所は比較的介護士の人数も多めに配置しており、利用者の要望に可能な限り随時対応する入所施設に近いスタンスでした。

夜中に服薬の訴え

そんなある夜、Sさんが眠れないとの訴えがあり、処方されている眠剤が欲しいと訴えてきました。
夜勤の担当者はSさんの認知症が進んでいる状態であることを把握していましたので、「夜も遅い時間ですので、今から眠剤を飲むと明日に差し支えますから様子をみましょう」と対応しました。
ところがSさんは「自分の眠剤なのに自分が管理して何が悪い」と言うことを聞いてくれません。
結局その日は職員も譲ることができず、Sさんは不信感を抱いてしまう結果となりました。

Sさんの認知症には波がある?

翌日、申し送りを受けた職員は、再度周知を行ないました。
認知症には波があることはもちろんですが、Sさんの場合は波がかなり激しいのではないかという意見もありました。
再度Sさんにお願いして、長谷川スケールを実施しました。
結果は25点と、最初のテストと大幅に異なる結果となりました。
「まだら認知」という状態ではないかという答えになりました。
それを踏まえて意思統一が行なわれました。

Sさんに対する意思統一の内容

・Sさんは日によって表情や応対に変化が起きやすいので、常に様子を確認しながら援助をおこなうこと。
・Sさんの薬に対するこだわりは強いので、処方されている薬の種類を説明し、定時に必ず服用し、本人にも納得してもらった上で経過を見ていくこと。
上記の2点に注意しながら様子を見ていくことになりました。

意思統一後のSさんの様子

Sさんは日によってぼんやりとしていたり、返答のペースが遅れたり、あいまいな喋り方になる時もありましたが、別の日には表情にも活気があり、笑顔がみられる日もありました。
意思統一に沿って援助を進めていった結果、Sさんがまだら認知の時でも職員が一定の対応ができるので、大きなトラブルになることはありませんでした。
また、眠前の服薬に対しても、指示どおりに服薬していただく習慣をつけることで、自身が納得した上で夜間を過ごすことができるようになりました。

おわりに

長谷川式スケールなどの認知症テストは、相手の認知症の状態に目安を付けることができる大切なものです。
ですが、その結果を過信しすぎてしまうと思わぬトラブルを招いてしまうことがあります。
認知症の進行は個人差があり、緩やかに進む時もあれば、急速に進むこともあります(これは1日の中でも認知症状の差はあります)。
定期的に長谷川式スケールを実施するなどして、利用者様の状態を把握していきたいと思う事例でした。

[参考記事]
「よく使用される認知症テストは2種類。長谷川式簡易知能評価スケールとMMSE」

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