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[認知症介護]老老介護の実例。妻を突き飛ばし骨折させた夫

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Kさん女性75歳はご主人(75)と都内に2人で暮らしていらっしゃいました。
子供は2人、娘・息子は自立していました。
Kさんはアルツハイマー型認知症です。
ご主人と2人での生活の中、認知症と判明までにとても時間がかかりました。
認知症と判明した経緯も次に説明しますが、偶然から生まれました。

《認知症と診断を受けるまでのKさんご夫婦》

Kさんご夫婦は某有名難関大学に通われていた同級生でした。
当時女性が大学に進学することは珍しい時代、Kさんは頭の良い真面目な方でした。
ご夫婦は60代の後半に今まで住んでいた一軒家を売り、都内のタワ-マンションの21階に引っ越しました。
都心まで電車で15分から20分の好立地な駅近マンションで、1階にはスーパーマーケット・銀行・コンビニなどなんでも揃っていました。

Kさんの様子に変化が現れたのは、ちょうど引っ越しが済み落ち着いた頃のことだったとご主人から伺いました。
もともと料理が得意だったKさんですが、台所に立ち料理を作ろうとするも、何も手につかず料理をしなくなったそうで、今思えばあの頃から認知症でしたとご主人は話されていました。
また、銀行の通帳やキャッシュカードなど貴重品を部屋のあらゆる場所に隠していたそうで、性格も怒りっぽくなり暴力を振るうこともあったそうです。
21階のマンションでは、外へ連れ出すのも難しく、引きこもりの状態になったKさん。

ある日、ご主人の使う大切なものをKさんはなかなか渡してくれず、口論・もみ合いとなり、ご主人はKさんを突き飛ばしてしまいました。
Kさんは背中を打ち、圧迫骨折で動くことができず、救急車で病院へ搬送されました。
搬送先の病院でKさんは、アルツハイマー型認知症と診断を受けました。

《老老介護の現実》

今回Kさんの事例を通し、老老介護の現実を間近で見させていただきました。
介護していたご主人からお聞きしたことをまとめると
〇肉体的・精神的にも当時は限界であったとお話しくださいました。
妻を突き飛ばして骨折させてしまったことに罪悪感を感じておりますが、次も同じことをしてしまうのではないかという恐怖感があること。
認知症が絡んだニュースが流れていますが、あながち無関係には思えないということも言っていましたので、私たちは緊急性を感じました。

〇また、ご主人は定年後の引っ越しにも後悔・責任を感じていることも話してくれました。
引っ越し前の地域には友達がたくさん居て、普段からお茶を飲みにお互いの家を訪れていたそうです。
マンションでは両隣の住民でさえ、あいさつ程度で深い付き合いもなく、「寂しさから認知症が悪化してしまったのか」と言っていました。
引っ越しの時期と認知症の症状が出始めた時期が同じのことから、これらの2つの事柄は偶然ではないのではないかと私自身も思います。
年を取ってからの環境の変化には十分には配慮すべきです。

このような聞きとりを行った後に検討した結果、Kさんは退院後、家から15分ほどの場所にあるグループホームへ入所することになりました。
その時のKさんの状態は、お風呂にはしばらく入っておらず、髪の毛も伸び放題の状態でした。
認知症もかなり進行されており、介護拒否がとても強く職員に対しての暴力もみられました。
Kさんは高学歴でまじめな性格な方でいらっしゃいましたが、頑固で警戒心・羞恥心の強い方でもありました。
そして、暴力行為もKさんのそういった人生歴や性質でなされていたと考えられました。
Kさんは人を攻撃するための暴力行為ではなく、自分を守るための暴力行為でした。
そのことをまず念頭にいれてケアにあたりました。
介護拒否中の暴力行為が多かったので、入浴・排泄の介助のときはKさんのペースに合わせ、無理やり何かをするということは一切しませんでした。
職員との顔なじみの関係が築けたとき、ある職員が『ここにいい温泉があるんですよ~』と話すとKさんは『行ってみましょう』と気持ちを寄せてくださる瞬間を発見しました。
もちろん毎回うまくいく訳ではありませんが、そういったKさんとの信頼関係に重点を置いたうえで介護をすると介護拒否も少なくなりました。
ホームの生活に適応するまで3か月ほどの時間は要しましたが、現在は少し落ち着かれ過ごされております。
もちろん今も介護拒否はみられますが、ホームをご自身の居場所であると主張してくださいます。

結果的には良い方向に進みましたが、Kさんの変化に気が付き、対応の窓口を探すことはご主人1人では難しかったと思います。
たまたま、入院先の病院での紹介で私たちの存在を知って、ご連絡をさせていただくことができましたが、全てがこのように上手くいくとは限りません。

そして、今後このような老老介護はどんどん増えていくと予想されています。
Kさんのケースのように社会との関わりが薄く家に引きこもってしまえば、介護をしているご主人も外へ出ることが難しくなってきます。

今後、地域包括支援センターなど相談窓口をより多くの方々に知ってもらうことが1番の対策です。
また、デイサービスなどの利用も望ましいですが、やはり抵抗のある高齢者の方々も多いです。
地域が一体となり集う場所・機会が増えていくと良いのではないかと思っております。

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