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認知症による幻覚やボヤ騒ぎなど徐々に症状が悪化する曾祖母

 

この記事は介護経験のある女性に書いていただきました。
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 私の曾祖母の日常は朝8時頃起床します。その頃には家族は全員仕事へ出払ってしまうので、曾祖母は一人で少し冷たくなったおかずや味噌汁を食べます。ボヤを起こさないためにガス栓を止めているため、どうしても冷たい食事になってしまいます。曾祖母は元々綺麗好きな人であったため、使った食器は綺麗に洗って水切りかごに置くなどは難なくこなしていました(しかし、綺麗好きであるのにお風呂に入って髪を洗うことを嫌がるようになりました)。

 食事の後は訪問介護のヘルパーさん(30代女性)が来るのですが、彼女が来ると近所へ逃げることを覚えてしまいました。曾祖母は彼女のことを「嫌な女」といつも言っていたので、相性が悪かったようです。

 曾祖母だけではなく、私たち家族もそのヘルパーさんに関してはいい印象はありませんでした。洗濯物の干し方が雑だったり、掃除も適当にしているのが分かるくらいゴミが残っていたり、介護を仕事にしていた私は憤りを覚えましたが、父母は「余計なことは言うな」と私に言うばかり。本来であればヘルパーを交代させるなどの処置をすべきでしたが、親は何もしませんでした。

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徐々に症状が悪化する曾祖母

〇曾祖母は味噌汁を温めていたことを忘れてお鍋を焦がしてしまったり、お茶を飲もうとやかんをコンロにつけっぱなしにしてしまうなどちょっとしたボヤ騒ぎになりました。何度も注意をしていますが、すぐに忘れてしまうので効果は全くありません。いつもボヤ騒ぎで済みましたが、いつ火事になっていても不思議でがない状況でした。

 私が休みの日に家にいるとなんとかコンロを使おうと色々試しているところを何度か見かけるようになり、母にはその旨を伝えていました。その結果、母はコンロをチャイルドロック用に交換して対応するようになりました。

〇「赤いワンピースを着た女の子が庭に穴を掘っている。止めたけど言うことを聞いてくれない」と話し、幻覚症状も現れるようになりました。本来であれば家族が「女の子に穴を掘らないように言ってくるね」と言ったり、部屋を変えるなどの処置をすべきでしたが、私以外の家族は介護の知識がないため、初めは「女の子なんかいないよ」と受け流す対応しかしませんでした。

 認知症の人が言っていることを否定することは良くないことだと色々な本やサイトにも書いてありますが、この「やってはいけないこと」を私たち家族はやっていました。私は介護職の経験があるとはいえ、幻覚の方に接する機会がなかったので、あまり上手い対応ができていませんでした。

清潔保持の難しさ

 曾祖母の介護をしていて私が一番難しいと感じたのは清潔保持でした。
〇もともと綺麗好きであった曾祖母はお風呂が嫌いな人ではありませんでした。しかし髪を黒く染めるお洒落にこだわりがあった曾祖母は「髪は月に一度洗うことに決めている」と言って髪を自分で洗うことをあまりしなくなりました。染料が落ちて白髪が出てしまうことを嫌がっているのでしょうが、認知症になる前には毎日髪を洗っていましたので、不思議です。

 ありがたかったのはお風呂は自ら入ってくれますし、私とは小学生まで一緒に入浴していたこともあって介助に入ることに抵抗がなく、それとなく髪を洗うことはできました。

〇失禁したパンツやズボンは自分の部屋のタンスや押し入れに隠していたせいで知らぬ間に木の底が尿で腐ってしまいました。そのため、部屋の匂いも絶えず臭く、掃除するのが大変でした。

 また、皮膚についた尿や汚物を拭かないために出来物ができてしまい、病院に行ったこともありました。家族は全員仕事をしているため、細かなところまで見ることができなかったことが原因です。清潔保持の難しさを痛感しました。

介護度が上がり入所が決まる

 曾祖母はだんだん家族の力で何とかできないくらい認知症の症状が悪化し(特に幻覚が多くなった)、近所の方々からも入所はできないかと苦情が来るようになりました。そこで今まで関わったことがない特別養護老人ホームに入所が決まりました。

 曾祖母も離れ離れになる日は目に涙を浮かべていましたが、程なく慣れた様子だと施設から報告が来ました。曾祖母の性格上、施設に慣れるかどうかはすごく気にしていたので、この報告を聞いてほっとしました。以前骨折をしたときに、認知症の症状が原因で病院を強制退院したことがあり、そのことが頭をよぎったからです。

 施設に入ることが決まったことは良かったのですが、他の悩みが出てきました。曾祖母の実娘が施設入所を知ってから、親戚に「介護放棄した」と言いふらすようになり、なかなか休まる日が来ませんでした(この実娘は曾祖母の貯金を騙して奪い取り、その日から曾祖母の精神状態が不安定になった経緯があります)。

 そのため施設には曾祖母の実娘の一家をブラックリストに載せ、面会できないようにしていました。しかし、他の職員が入れてしまったと連絡が入りました。それから職員さんの前で私たちの家族の悪い噂を流したせいで、職員さんとの信頼関係も悪くなってしまいました。

 曾祖母は実娘に騙されたことを覚えておらず、それどころか懐かしんでいる様子で、私の母の悪口を一緒に言って楽しそうにしていたそうです。曾祖母が亡くなった今、私は曾祖母のことを憎いとは思えませんが、母の気持ちを考えると複雑な気持ちです。認知症とはいえ一生懸命介護した母の悪口を言うのは家族からしても辛いものです。

[参考記事]
「認知症の人の幻覚(幻聴)や錯覚にどう対応しているの?」

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