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デイサービスで他の利用者と仲良くできない認知症高齢者の実際

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これまでの経緯

 Nさんは70歳代女性、とても上品な容姿をしているのですが、洋服を着る順番や食事を食べる時など、日常生活のほとんどに対して支援が必要なほど認知度が中程度な方です。

 Nさんの介護者は同居の長女のみであり、長女の介護の休養を目的に、週に3回の通所介護サービス(デイサービス)と、2泊3日の短期入所サービスを月に2回程度利用しています。

主な症状(問題行為)

 Nさんは、思考や判断力の障害が生じていますが、文字を読み上げることはできるため、通所介護サービス(デイサービス)の送迎の時には「あそこに〇〇って書いてある」など店舗の看板や交通安全の標語などを読み上げてくれます。

 その読み上げは突然的であり、時には踏切前の警告標識の「止まれ」を踏切通過中に読み上げるため、運転手であるこちらは「遮断機が降りかけていたのか?」とびっくりすることもあります。

 通所介護サービスの事業所に到着してからも文字の読み上げはするのですが、それだけではなく他の利用者の行動などに対する評価をします。

 例えば、食事の時にNさんの正面側に座られた方が箸を上手に使えなかったり、食べ物を落としたりした場合、Nさんは「〇〇を落とした。やだわ」と一言、また、レクリエーション中など、誰かが鼻をかんだとすると、「あの人鼻をかんだわ。いやね」など、その場で口に出して表現します。

 ですので、その当事者はもちろん、周りの利用者からも良く思われず、ある程度認知度の軽い方には、これはNさんの認知症の症状の1つであり、やむを得ないことを理解してもらっています。

 しかし、これが幾度と重なると近寄りがたい存在と思われ、事業所内では孤立してしまう傾向にありました。

症状に対する対応策

 デイサービス利用中の対応策としては、身体や認知症の状態の近い方同士を同じテーブルの座席とするなど心身状態に応じたグループ分けを行いました。

 具体的には、Nさんの近くに身体や認知症の状態がNさんより重度の方を着席しないように、また、Nさんの発言に対し、怒り出してしまう方も近くに着席しないように工夫をしました。

 また、同席とする方は、Nさんの事を理解してくれる方に着席してもらい、このような方が当日の利用者に居ない場合は、Nさんの正面に他の利用者が来ないように、かつNさんが孤立しないように工夫をしました。レクリエーションなど、職員の手が空くときには、職員がNさんの隣に座り、全体を見るような工夫も行いました。

対応策の結果

 心身状態に応じたグループ分けは、当日の事業所内の雰囲気を壊してしまうNさんの発言が見られなくなったことから、とても良い雰囲気がつくられ、Nさん自身も笑顔で過ごされる時間が増える結果となりました。

 これを見ていた他の利用者も、「Nさん今日はご機嫌だね」など、Nさん自身への声掛けが見られるようになり、さらには「Nさんも一緒にいかが?」など、Nさんの孤立は解消されました。

 グループ分けを上手くできなかった日は、認知症が改善した訳ではないので、またNさんは批判的な口調に戻ってしまうときもあります。

 認知症高齢者については、その段階(レベル)に応じて、グループ分けが必要となることが実践から確認できた事例となり、さらには、認知症がなくても身体レベルに応じたグループ分けが有効であることも確認できた事例となりました。

[参考記事]
「認知症のデイサービスに嘘を言って利用者を連れて行った結果…」

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