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[認知症介護]母を施設に入れることに罪悪感を感じている嫁

 

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一人で暮らすことが困難に

 Kさん(78歳女性)はアルツハイマー型認知症ですが、お1人で生活されていました。ご主人とは死別されており、Kさんの自宅から徒歩20分のところで生活している息子さんがKさんのキーパーソンですが、主に介護を行っていたのはお嫁さんです。

 普段は週に3回、小規模多機能型居宅介護に通われていましたが、ここでは、入浴・食事(昼・夜)・レクリエーションを行います。

小規模多機能型居宅介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組合せ、家庭的な環境と地域住民との交流の下で日常生活上の支援や機能訓練を行います。

厚生労働省のホームページから引用


 しかし、認知症の進行がいちじるしくみられ、Kさんもいよいよ1人で暮らすことが難しくなってきました。主に以下の症状を持っています。

〇Kさんはお話がお好きな方で一見認知症には見えないのですが、30秒前に話していたことはほとんど覚えてはいられません。その結果、何度も同じ話をされます。

〇Kさんは布パンツを履いていたのですが、失禁が増えパットを使用しました。しかし、失禁したパットやパンツをご自宅に戻るとタンスなどあらゆる場所にしまってしまうようになりました。

 そのため、他の衣類に尿臭がしみ込んでしまっていて、その衣類を着てくることにより強い尿臭がしていました(ですので、小規模多機能型居宅介護の時はいつもそのまま入浴へ誘導させていただいていました)。

 パットだけでも自分で処理のできる方や介護者がまめに取り換えることができる環境にある方はこういったことにはなりません。

 隠してあるパットは、Kさんが小規模多機能利用時や泊りの時にお嫁さんが回収していました。また対策として、トイレにゴミ箱を置き「パットはここに捨ててね」と書いた紙を貼って様子をみていましたが、難しいようです。今の高齢者の方々にはパットという文化がないので、適応するのに時間がかかるためリハビリパンツに切り替えとなる方も多いように思います。

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〇徘徊もするようになり、帰れなくなってしまい警察に保護されることが何回もありました。Kさんが徘徊する時には財布にお金がないことが共通していました。お金をおろしに外へ出て行った結果、帰れなくなり徘徊へつながっていると考えました。

 ですので、Kさんの財布にお金を常に3000円ほど入れてもらうようにお嫁さんには伝え、様子を見ていました。以前は3か月に1・2回は徘徊することがありヒヤヒヤしておりましたが、それから半年は徘徊されていません。新たに泊りのサービスが増えたことや、お嫁さんの介護のおかげだと思っております。

〇火の管理ができなくなり、IHをつけっぱなしにしていることが度々ありました。幸い、何も料理をしていなかったので火事にはなりませんでしたが、一歩間違えるとご近所さんにも迷惑をかけることになりますので、注意を欠かせませんでした。

 こういったことが続き、Kさんの小規模多機能型居宅介護を利用する日は増えていき、日中は毎日通うようになりました。

お嫁さんが相談に来る

 ご家族の介護負担は計り知れないものがあったと思います。ある日お嫁さんは小規模多機能型居宅介護へ相談にいらっしゃいました。Kさんの認知症の進行が進み、これからどうすればいいか分からないと涙を浮かべ話していました。

 お嫁さんは日中にパートへ出ており、仕事が終わったら家族の夕飯を作り、すぐにKさんのところへ。そして、Kさんが眠りについた後、22時に帰宅します。それから夕食を食べるという生活を続けていたそうです。

 仕事と家事でただでさえ疲れているのに、Kさんの介護をすることで疲れは限界を超えてしまって夜も眠れないことがあると相談を受けました。また、お嫁さんには更年期障害があり、肉体的にも精神的にも辛かったのだと思います。

 その日を境に、Kさんはグループホームの入所待ちとなりました。しかし、グループホームもすぐには入所できません。その間は小規模多機能型居宅介護で泊りを週に2回から3回取り入れることになりました。

 お嫁さんの介護疲れは深刻でしたが、義理のお母さんを施設に入所させることに非常に抵抗があったようでした。『申し訳ない』という言葉を何度も口にされていました。ご自分の生活を削ってまでも、お母さんの介護をしたお嫁さんはとても立派だと思います。

 しかし、私はお嫁さんに
「介護は悩みがつきもので、なんでも介護職員やケアマネージャー、地域包括センターに相談をしましょう」

「施設利用は何の罪悪感を感じることでもない」
ということをお嫁さんに伝えると表情は穏やかで明るくなったように思いました。

 そして、Kさんの介護についての相談を何でもしてくださるようになりました。そういった介護のストレスが軽くなったからか、Kさんもいつにも増し元気がよく毎日楽しく過ごされていらっしゃいます。

 今回Kさんの家庭は経済的にも余裕がありましたが、中にはこうも上手くはいかず悩んでいらっしゃる方は多くいる事と思います。どうか、悩みは誰かへ発信し・発散し、協力機関に助けを求めましょう。お近くの高齢者相談センターへ電話で相談することでもいいと思います。

[参考記事]
「[認知症介護]介護離職と遠距離介護で享受するメリットとデメリット」

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