今回の記事は介護施設に勤めている30代男性に書いていただきました。
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【1.背景】
90代の女性の方で、アルツハイマー型認知症を発症している人のお話です。
周辺症状としまして、徘徊や他者とのトラブル、昼夜逆転、介護拒否、食事をされない、といった症状が強く出ている利用者様です(参考記事「認知症の周辺症状ってどんな症状なの?」)。
施設へ入所される前は、介護保険を使いお一人で生活をされていたのですが、外出をすると家に帰れなくなり警察へ保護をされる事や、近隣住人の声もあり施設へ入所されました。
【2.対応】
入所をされてから初めに1番の問題点であった徘徊の対応をしていきました。全く歩かないのも困りますが、歩き過ぎても足や関節に負担がかかるからです。
施設に入所されてから、ずっとフロアを徘徊されていて、一日の中で座っている時間がほぼ無かったので、1日を通して落ち着いて頂ける時間を作る事を最優先に考えました。
徘徊をするには何か理由があるので、その理由や背景をご家族様からヒアリングし、ご本人の趣味があることを生活の中に取り入れていきました。
この入居者様は家で編み物の先生をされていたという事で、生徒さんをよく駅まで迎えに行っていたことが分かりました。その記憶があって、生徒さんを迎えにいくという目的で出歩いているのだと思われます(悲しいことに出歩く理由はあっても、歩いているときには忘れています)。
理由が分かったことで直ぐに対応する事が出来ました。徘徊をされている時に、一緒に横につきながら歩いて、「編み物を教えて下さい」と声掛けを行いました。最初は、意思疎通が困難でしたが、編み物の道具を見るとソファーに座り、編み物をする行動をされました。話はつじつまが合いませんが、本人様は楽しそうにされているので、趣味を探して提供する事の大切さを実感しました。
他者とのトラブルについてですが、この方は元々気の強い方だったと聞いていたので、上手に他の方の輪に入れるかが心配でした。暴力行為はありませんが、直ぐに他の入居者に文句を言い、口論になっていました。仲が良くない方とは席替えをしたり、時間をずらして会わないようにしましたが、特にどれも効果が無く、基本的に職員が横に付いている状態であれば落ち着いてくれます。
それでも、側に職員がいないと直ぐに口論になっている現状を看護師へ報告し、精神科への受診を考慮してもらいました。服薬は副作用がでるため、私は反対の立場ですが、人員が足らない現状ではどうしても薬に頼ってしまうのが現実です。結果は服薬での精神安定で現在は落ち着かれています。
昼夜逆転も、精神科で処方されている睡眠薬を飲んでからは、ぐっすりと休まれているので、本人様に薬が合っているのだという感じが持てます。しかし、いつ副作用がでるか分かりませんので注意は必要ですが。
介護拒否に関しては、職員を代えて声掛けを行う事で、最初は拒否が無いのですが直ぐに思い出したかのように同じ拒否をされます。特に、入浴や排泄での拒否が多く、男性に対しての嫌悪感が強いように思えました。介助をする時は、女性の職員で対応を行うと、拒否は男性よりは少なくなっています。羞恥心からくる拒否なのか、男性が嫌いなのかは、未だにわかっていません。
食事の拒否については用意した食事を全く手を付けない日が3日程続きました。栄養補助食品は好きなのか良く食べられていましたが、このままでは栄養状態も悪くなるので対策を考えました。食事席に座る事の拒否が強かったので、いつも座られているソファーに食事を持って行ったところ、少し時間を置いてから食べ始めました。
このことで周りに人がいることで気になって食べられなかったことが分かり、これ以降は1人で食べていただくようにしました。食事に対しても色々な方法があると学びました。
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