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レビー小体型認知症により犬の幻覚が見える女性への対応

 

この記事は高齢者賃貸住宅で認知症の方をお世話しているヘルパーさんに書いていただきました。

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 レビー小体型認知症は脳幹や大脳皮質にレビー小体というタンパク質が溜まってしまうことから起きる認知症です。レビー小体型認知症になっている人の8割が幻覚や幻視の症状があると言われています。

 ある施設で働いていた時に出会ったTさん(75歳女性)の話をこれからしますが、私はそこで初めてレビー小体型認知症の方に出会いました。

 旦那様は既に他界されており、息子さんが一人います。息子さんは結婚しており、婿養子に入っていたため、身寄りのなかったTさんは高齢者賃貸住宅に入居となりました。

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Tさんの幻覚症状

 Tさんは65歳でうつ病になり、人間関係をうまく築けない方でした。被害妄想的な部分も多く、最初はうつ病のせいではないかと言われていましたが、72歳の時にレビー小体型認知症と診断されました。

 私が初めてTさんにお会いし挨拶した際には完全に無視をされました。掃除・洗濯・買い物の援助をさせてもらっていましたが、Tさんは私に心を開くことはなく、他のスタッフに「あの、ヘルパーさんは掃除の仕方が雑なんだ」と愚痴をこぼしたり、洗濯では「しわがきちんと伸びていない」と言われ、買い物に行けば「頼んで無いものまで買ってくる」と・・・。

 私は正直、Tさんの援助に行くのが嫌になっていました。きちんとやっているのは上司も分かってくれていました。でも、上司はTさんの前で、私をかばってくれない・・・本当に切ない気持ちとストレスに押しつぶされそうでした。

 そんなある日の夜勤の巡回で、私はTさんの部屋を訪れました。ベットの隅で、真っ暗な中座っていたのです。「大丈夫?体調悪いですか?眠れないですか?」と私はTさんに問いかけました。「そこでね、誰かが私の部屋を詮索してるの。隣の部屋の人は私の話を盗み聞きしてるの。だから静かに!この部屋から私を連れ出して!」とTさんはひそひそ声で話すのです。

 希望通り、私は事務所にTさんと一緒に戻りました。Tさんは事務所のソファーベットで横になり、すぐに眠りにつきました。入眠された後、私はTさんのレビー小体型認知症について事務所で色々調べました。

 その時私は自分の行動や言動に深く反省を覚えました。Tさんは、いつも幻視・幻覚・妄想と闘っていたんだと・・・それなのに私はTさんの気持ちも考えず、文句を言われてはTさんの話を半分にしか聞いていなかった。幻覚と闘っているTさんの気持ちに寄り添う事をしていなかった。上司はだから私をかばわず、Tさんの話に耳を傾け、寄り添っていたのだとその時初めて気づきました。

レビー小体型認知症を勉強し、Tさんとの関係は改善

 その後、レビー小体型認知症についてたくさんの研修を受け、Tさんとの関係は見違えるように変化していきました。Tさんから、出来ていないと指摘があれば、上司と一緒にTさんのところへ行き謝罪する。また、Tさんの幻覚・幻聴・幻視を否定せず、一緒にTさんが見えたり聞こえたりすることに同調することにより、Tさんとの距離は縮まりました。

 「あそこに犬がたくさんいるのよ。怖い」と言った時には「私が追い払ってきますね」と実際に追い払う動作をしました。Tさんにとっては実際に見えるわけですので、「犬はいませんよ。安心してください」と否定しても仕方がないのです。

 このように真っ暗な世界で一人で、たった一人でいるレビー小体型認知症の方は多数いらっしゃいます。私たちがその中から助けてあげる事、それは相手に寄り添う心。見えないものが見える怖さ、聞こえないものが聞こえる不安。それらを私たち介護員が一緒に寄り添うことにより、少しでもその方の心が安らぎに満ちたらいいなと思います。

[参考記事]
「幻覚で悪魔が見えるレビー小体型認知症の女性への対応」

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