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認知症の人が行なう「契約」についての対応

 

 認知症の人が行なう契約行為に対する対応について書いていきます。

 Dさん(女性)は自宅で一人暮らしています。ここ1年くらいの間に、認知症の中核症状としてよく見られる、記憶障害や見当識障害が見られるようになってしまいました。

 家族は遠方に住んでいる為、月に3回だけDさんの身の回りのお世話等を行なっていますが、それだけでは不十分の為、介護保険を利用しデイサービスや訪問介護を利用して生活を送っています。

 そんなDさん宅に訪問介護として行なった時の体験です。

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突然の届きものに困惑する介護スタッフ

 Dさん宅に週に3回訪問し、掃除や買い物等の身の回りのお世話をさせてもらっていたのですが、突然Dさん宅に割と高そうな布団が8セットくらい届いたのです。

 「これどうしたのですか?」と職員が聞くと、「このあいだ買ったのかしら? 」とあいまいな返答をされました。Dさんは購入した事をしっかり覚えていません。

 職員は異常事態と考えた為、担当のケアマネジャーに連絡を入れました。

返品は不可?

 ケアマネジャーが家族に相談し、通帳を確認した所40万円くらいする布団を購入していました。

 Dさんに事情を聞いてもどんどん記憶があいまいになっています。

 購入先に問い合わせをするも、返品は不可という事で、お金も戻ってきません。家族とケアマネジャー、訪問スタッフで今後の対応について相談をしました。

 1度こういった業者が来たという事は、もしかしたらまた来るかもしれません。とりあえず家族が通帳と印鑑を預かる形で今後の予防を行ないましたが、最悪Dさんが業者に消費者金融などに連れていかれて借金をさせるような可能性もあるかもしれません。

 家族は不安になり、Dさんを施設に預ける事まで検討し始めました。

今後の対応方法は?

 Dさんは介護職員や家族、地域のシステムを利用すればまだまだ自宅で過ごす事が出来る方です。このような「悪徳業者」に騙されてしまった為に、自宅を離れ施設に入居するという事はあってはなりません。

 しかしながら話し合いでもあったように、今後さらにDさんを陥れようとしてくるかもしれません。

 家族が24時間毎日いられるわけではないですし、在宅での介護サービスを利用しても、24時間365日対応は無理でしょう。

 確かにこんな状況であれば家族はDさんの身の安全を一番に考え、施設を検討するのは仕方ありません。

 しかしそんなDさんを守る方法もきちんとあるのです。

成年後見制度の利用

 成年後見制度とは、精神障害や認知症により「判断能力」が出来ない方も財産や権利を守ってくれます。

 Dさんの担当ケアマネジャーはすぐに家族を連れて家庭裁判所に相談に行きました。Dさんの現在の状態や、今回相談に来た経緯などを話し、すぐに調査に来てくれることになりました。

 しかし審判が下るまでに2.3か月かかる事もあるようで、その間だけ施設に入居する事にし、その後審判が下った後に自宅に戻って生活が出来るようになりました。

終わりに

 それから財産管理などは後見人が行い、不当な契約はすべて破棄できるようになりました。訪問介護やデイサービスの利用も再開しました。

 Dさんのように家族が遠方の方で、なかなか対応できない場合等は、財産管理や何かしらの契約に立ち会う事が難しいので、成年後見のシステムを理解しておいた方が良いでしょう。

 [参考記事]
「認知症の方を悪質業者から守るために成年後見人を利用した事例」

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