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物盗られ妄想がある認知症の人への対応について

 

 認知症の周辺症状の1つとして、物盗られ妄想があります。これは自身の持ち物を誰も盗っていないのに盗まれたと思ってしまう症状です。盗まれたと思っていた持ち物はどこかにしまって忘れているのです。

 物盗られ妄想が出ると、相手に対して強い不信感を持っているため、解決することは難しいことが多いですが、 今回は利用者や家族、デイサービス職員による協働により物盗られ妄想の軽減に繋げることができた事例をご報告致します。

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物盗られ妄想出現時の状況

 当デイサービスでは、利用中に物品の購入など直接金銭のやり取りを行うことはなく、利用料金に至っては銀行引き落としでの取引となっているため、事業所に貴重品を持ってくる必要性はありません。それ故、利用時の荷物(入浴時の着替えやパッドなど)は利用者本人に同意をいただき、荷物置き場に置くようになっています。

 認知症である80代の男性A氏が荷物を探っている様子を発見し、声をかけたところ食後に磨くための歯ブラシを探しているとのことでした。当デイサービスでは食事を摂られた方には基本的に口腔ケア(歯磨き)をお願いしており、自身の歯ブラシを持ってきてもらうようお願いしています。

 しかし、忘れてしまうケースも少なくないため、事業所内で忘れた時用に歯ブラシを利用者人数分揃えています。A氏も日頃より歯ブラシを忘れてしまいがちでしたので、事業所内で名前の書いた歯ブラシを用意していました。しかし、A氏はそのこと自体を覚えておらず、バッグを触った(荷物置き場に移動させた)職員が盗ったと考えているようでした。

物盗られ妄想出現時の声掛け

 物盗られ妄想に限らず、認知症利用者への声掛けや対応は資格の有無に関わらず、スタッフとしての力量が表れます。

 初めから「歯ブラシは盗られていませんよ。持ってきてなかったのですよ」と否定的な声掛けをしてしまうスタッフもいますが、大概利用者が固執してしまい、うまくいかないことが多いです。それどころか信頼関係を崩してしまうこともあり、逆効果である場合もあります。

 そこで、物盗られ妄想が出現する時だけでなく、出現しない時の状況を分析し、スタッフ間での情報と対応策の共有を図りました。

 対応策として、来所時にご自身でバッグを荷物置き場まで持って行ってもらうこと、歯ブラシの準備を行う際には本人の目の前でバッグから取り出すことを統一することとしました。

 また、朝の来所時に本人とともに歯ブラシが入っているかを確認し、万が一入っていなかった場合は家族に電話で確認することで了承をいただきました。

対応後の経過

 まず、本人の目の前で一緒に荷物を確認することで、対応初期より物盗られ妄想の出現頻度が大きく改善しました。自身の目の前で一緒に確認することで納得できるご様子でした。

 しかし、歯ブラシを忘れてしまっていることに納得されないことが多く、数分後に自分でバッグの中身を全部出しながら探すといった行動が利用中に複数回みられる状況でした。そこで、前述した忘れた際の家族へ電話をすることで「A氏が忘れた」のではなく、「家族が忘れた」と認識させることで抵抗なく納得されるようになっていきました。

まとめ

 物盗られ妄想を含めた被害妄想では、本人にとってはそれが真実であり、安易に否定することなく傾聴から始め、本人に関わる環境(人的・物的)を整えていくことが必要です。

 複数ある認知症症状の中でも特に物盗られ妄想は、記憶障害も伴っているので、言葉だけで説得しても無駄なケースが多いです。ですので、言葉で説明するだけではなく、上記のように家族に協力をしていただいたり、荷物を自分で管理してもらったりと、物盗られ妄想の種を摘むことが大切です。

[参考記事]
「夕方に物盗られ妄想を繰り返す認知症の人への対応事例」

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