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認知症介護の相談事例。「薬で寝たきりにさせてもいいよ」

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 私は、高齢者福祉の業界で働いています。確実に直面するのは認知症のご利用様の対応です。認知症と聞くと大抵の方は毛嫌いされますが、実際ご家族様から色々な認知症介護に関するお悩みの相談を受けてきました。そんな相談の中から一例紹介させて頂きます。でもこの内容はあくまでそのご利用者様に通用しただけで、実際この対応をしたと言ってうまくいかない場合もあると思います。参考までに。

デイサービスの休みの日を認識できず

 その方は90歳(男性)を超えていたのですが、僕と会った頃はまだまだしっかりしていました。登下校の子供の安全を見守ったりと地域のために一所懸命仕事をして頑張っていました。ですが、自宅での転倒があり、一カ月の入院。入院から戻ってきてご家族様が自宅での生活だけではちょっと不安という相談を受けました。それは「また転んでしまうのでは。下肢筋力の低下もあるし、何か方法はないかな」との相談でした。そこで僕の働いている通所介護事業所を利用する事になりました。

 利用当初「毎日でも通いたい。楽しいなー。」と笑顔で通所されていました。順調に利用を重ね、何ら問題なくご利用を続けていました。そして半年が過ぎた頃から、若干の異変が。その頃は週3回、通所介護をご利用になっていました。これまでは通所介護のお休みの日は認識できていたので大丈夫と思っていたら、休みの日なのにも関わらす歩いて事業所に来てしまったのです。ご本人様曰く「だって、待っててもはっぱり迎えにこねんだおん(だって、待っていても全然迎えに来ないから)。」との事。曜日の感覚が無くなっていました。これまではこういった行動が無かっただけで、認知症の症状は進んでいたのではと思いました。

 こういった症状をご家族様は認識されているのかなと思い、ご本人様にその日は利用する日ではない事を伝え、自宅まで歩いて送っていきました。歩行状態を確認したかった為です(屋外での歩行時に危険な状況はないか等を判断する為)。実際一緒に歩くと、ふらつきも強いし、自宅の認識も若干疎くなっていました。よく事故に遭わなかったと思うくらいでした。自宅へ着くとご家族様が「あらー、なんだべ、じいちゃん。なぬしたの?勝手にではって。」(あら、まあお爺さん。なにをしたの?勝手に出て行って)と怒り口調で話しています。僕が「認知症の初期状態はこんな事はありますよ」となだめてもご家族様は怒っている状態です。認知症の方を怒るという事は症状の悪化を助長しているものです。ご本人様は「何も悪い事はしていない」という認識でしかいません。怒る事で、ストレス溜まったり、自暴自棄になり「自分はどうしたのか?」と悩みだし、症状が悪化していきます。

家族から酷い言葉が

 実際、徐々にご家族様も手に負いかねると話すようになってきました。暴言や失禁、機能低下等々見られてきました。施設でも他のご利用者様や職員に対して暴言が目立ち始め、ご家族様は施設入居も検討しようかという話をしてきました。僕は何と言っていいのか考えていましたが、その時には「その方法もあるかな。」と感じていました。ただ、その後のご家族様の言動で何とも言い難い気持ちになりました。その言葉は「薬ででも飲ませて寝たきりでもいい」でした。その時、何とも言えない憤りを覚えました。「なんでそうなるの??」としか思えませんでした。これはご家族様には言えないので我慢しました。本当は「自宅であんなにも怒られてばかりでは、頭にくるし、症状も進むよ!ちょっと考えてもらえないかな!!」って言いたかったです。でもこれを言ったら、職員としてはダメですので、すごく我慢しました。

その後の対応

 実は、自分が休みの日に限ってそのご利用者様は暴言や暴力を振るうのです。職員はその時に対処療法的な対応を行います。私は、ちょっと目先を変えた対応を心掛けていました。その対応を職員にも伝えていたのですが、上手くいかないとの事でした。実践していたのは「送迎時からの対応をしっかり行う。」でした。実をいうと、これは僕が上司から認知症対応についてレクチャーを受け、実践していた事でした。

 皆さんは、認知症の方が暴言や暴力を振るう時、突発的に起きていると感じている人はおりませんでしょうか?実は僕はそうではないと思っています。日内変動は確かにあります。でも、その変動の幅をなだらかにすることはできるのです。それは、瞬時に行えるものではありません。朝に様子を見て、状況を感じながら必要に応じて声掛けをしたり、その日、ご本人様がどんな気分なのかを察し、対応を変えていく「観察眼」が必要です。また、「決めつけないこと」が大事です。「決めつけないこと」とは例えば怒っている行動に対して「認知症のせいだから」と思ってしまうことです。本当はただ単に嫌なことがあって怒っているかもしれなのだから。確かに職員は大勢の人を見ながらの対応になりますので、大変と言えば大変ですが、やらなくてはいけないです。

 上手くいかない事の方が多いですが、そこで諦めると終わりです。自分が「こうして欲しいな。」と思った事を相手にできればその人は安心して生活できます。認知症ケアは答えがないので、とても難しいですが、どういう思いで認知症介護を行うかが一番大事なのではないでしょうか。

[参考記事]
「認知症の人に暴力を振われた時の介護職員の対応」

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