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収集癖、物盗られ妄想のある認知症利用者に対する対応

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入所施設を利用中で認知症の診断を受けているSさん(80代前半女性)は、身体のADL(日常生活動作)も比較的高く、社交性もあり、職員に対しても謙虚に対応してくださる方でした。
身体の問題よりも、収集癖が強いことが問題点としてあり、食事の際のおしぼりやおやつ、デイルームに置いてある飾り物などを自分のバッグに入れ、自室のタンスにしまいこんでいました。
利用当初は誰も気が付かず、環境整備の際に職員が発見したことが始まりでした。

Sさんに対する職員の対応

環境整備を担当していた職員は、Sさんのしまいこんでいた物を綺麗に片づけてから上司に報告していました。
部屋に戻って物が無くなっていたことに気づいたSさんは大変立腹し、職員に対して不信感を抱いてしまいました。
「私の大事なものだったのに」
「あなたが盗んだんだ」
と、職員に対して訴えるようになりました。
これは一般的に「物盗られ妄想」と呼ばれています。

その後も職員がSさんの収集癖を未然に防ごうとして、その場で強く注意してしまったり、本人の前でカバンを確認してしまうなどしてしまい、Sさんの不信感や立腹がさらに増えてしまいました。
もちろん職員も仕事ですから、
「私は環境整備をしただけで、Sさんの物を盗ったわけではない」
「施設の物を持っていってはいけない」
という主張は職員同士では理解できるのですが、このままではSさんも職員に対して不信感を抱き続けてしまい、信頼関係が築けないということで、職員の意思統一をおこないました。

Sさんに対する意思統一の内容

1. 職員がSさんの目の前で本人の持ち物を確認したりしないこと。
2. Sさんの収集した物の中で、すぐに回収しなければならない物はなにか。
3. 一気に片づけてしまうとSさんが気づいてしまうので、少しずつ回収していくという方法で様子をみてみよう。
4. Sさんの居室でその引き出し以外の場所に集めている場所はないか。
という点を統一し、様子をみることにしました。

意思統一後の経過観察

1. Sさんは他の利用者様や職人に対して社交性が高く、対話も問題は見られないのですが、さらに本人に対するプライバシーを優先することで、Sさんにも笑顔が見られるようになり、信頼を築けるようになりました。
2. 回収する物の優先順位としては、Sさん自身に異食行為やその他問題行動は見られないため、傷む恐れのある食べ物を優先的に回収し、おしぼりや備品などはSさんが気づきにくい程度に、少しずつ減らしていくようにすることで、立腹などの行為にならないよう注意を払いました。
3. 最初は減らす加減が難しく、Sさんが物の減少に気づくこともありましたが、回数と日数を重ねるごとに職員との信頼関係も構築され、立腹することもなくなりました。
4. Sさんの居室をよく観察すると、引き出し以外にもクローゼットの中にも同様に収集していた物が見つかったので、同じように対応しました。

おわりに

収集癖や物盗られ妄想を完全になくすことはできませんが、職員間の意思統一を行なうことで、Sさんの職員に対する不信感は改善されました。
そして利用日数が増えるにつれ、利用当時の収集癖の回数も徐々に減りました。
利用当初は生活環境も変わり、見慣れない職員に対してのストレスもあったのではないかと推測されます。
また、収集した物の置き方にもこだわりがあり、おしぼりはきちんと折りたたまれて置かれており、本人の性格がそこからも見受けられました。
職員間の意思統一で安定したケアを提供することにより、Sさんの安心感も得られたのではないかと思います。

[参考記事]
「[認知症介護の実例]収集癖、異食がある方への対応」

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