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車で走り回る認知症高齢者に運転を止めさせる対策とは

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普通に道路を走っている車ですが、じつは認知症の方が運転している車…ということは実際けっこうあります。
認知症の高齢者が運転する車が登校中の小学生をひいてしまい、残念ながら亡くなってしまったという悲惨な事故も。
今回の記事ではそうなる前に認知症の人に車の運転を止めさせることに成功したお話をします。

行動力抜群の認知症

Dさん(女性、70代後半)は、体の動きには不自由がありませんが、認知症です。
定年まで学校の教師として働いていました。
結婚歴が無く独身で、子もいなく、独り暮らしですが、近所に兄弟と甥の方は住んでいます。
地域ではちょっと有名です。
とても行動力があり、1日のほとんどの時間を外で過ごし、社交的でいろいろな人に声をかけています(直接知らない人にまで)。
声をかけては、教師時代の話を同じ内容で何度も繰り返しているので、多くの人がその話の内容を知っているほどです。
また、被害妄想もあり、「お金を盗られた」などと訴え、トラブルになることも何回かありました。
そのため、地域の警察もDさんを把握していました。
Dさんにも担当のケアマネジャーがいますが、何しろいつも自宅に居ないので、本人となかなか会えないとのことでした。

ドライブという名の徘徊

Dさんは歩き回るのはもちろん、車でも走り回ります。
軽自動車に乗っていますが、ところどころ傷や、へこんだ痕もありました。
それを見るだけでも、危ない予感はしますが、実際走っている車に遭遇すると、本当に危ないです。
急な加速、急な減速。
周りが見えているのかな…?といった感じの、ハラハラするような運転です。
そして昔から行きつけのガソリンスタンドで給油をします。
車で走り回っているので、当然ガソリンもすぐ無くなります。
1日に2回給油にきたこともあるそうで、もちろんガソリンスタンドの店員も、Dさんの異常な行動を心配していました。

「そろそろ運転止めませんか」と誰が言ったところで、Dさんは聞く耳を持ちません。
止めさせてくれる家族もいません。
プライドもあり『自分はまだ運転できるのに、どうして止めなきゃならないんだ』と、当然そう思っていました。

指導員という名のデイサービス

夜間は家にいることが多いということで、暗くなってきた頃に、担当のケアマネージャーが自宅へ伺い、ある案を持ちかけました。
「通所介護という事業があるのですが。多くの利用者さんは高齢の方ですが、通ってリハビリなどをするところです。通うのに送迎をする運転手がいます。そこで、ベテランドライバーのDさんに、同乗する役をお願いしたいのですが…。自動車学校の教官とまでは言いませんが、運転手も、1人で何人も乗せるのは不安なので、Dさんのようなベテランの方について頂くと、とても安心です。教員免許もありますし、是非Dさんにお願いしたいのです。」
単なるデイサービスを利用するというお話ですが、こんな話がDさんに通用するのか、ケアマネージャーも不安でいっぱいだったそうですが、Dさんは「私も忙しいからそんなに行けないけど、まあしょうがないね。」といった感じで、その場で了承をもらうことができました。
だからといって、その話を覚えているかといったら、覚えていないでしょう。
利用当日、まずは自宅に居るか居ないか、といった不安がありながら、デイサービスのスタッフとケアマネージャーも自宅へ伺いました。
運よくDさんは自宅におり、ケアマネージャーから「先日のお話のことで…」と話を切り出しました。
『もちろん覚えているよ』と、忘れるわけがないといったプライドが働いた感じで、送迎車に乗ってくれました。
通所介護の「従業員」という設定ですから、スタッフもそのように接しました。
送迎以外の時間も、「ドライバーの指導員」という設定でした。
通所介護のスタッフはその設定を完璧に守ったお蔭で、Dさんは意外にもデイサービスの場に馴染んだのです。
その場の雰囲気がDさんに合ったのか、自分が「ドライバーの指導員」と任命されたことももちろんよく忘れます。
ここに来れば、話し相手がたくさんいて、その時間が心地良いので、無理なくデイサービスで過ごすことができました。
通い始めて、『これからのDさんの車はこれ』と、送迎車を指し、もちろん鍵は預けませんが、「自分の物」という意識を持っていただきました。
そしてDさんの車と鍵は、甥の方にお願いして預かっていただき、車はDさん宅の庭に置いたままにしてみるとのことでした。
時々、「鍵をなくした」「鍵を盗まれた」と訴えますが、Dさんは今、「デイサービスで忙しい」ので、それほど執着しなくなりました。

[参考記事]
「認知症の高齢者が運転して起こす交通事故でも実刑になることがある」

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