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会社で高い地位にあった認知症利用者の暴言対策

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若い頃は証券マンとして会社で高い地位となっていた男性のMさんは会社を退職後、特に何をするでもなく日々を過ごしていました。
ですがだんだんと物忘れがひどくなり、次第に近所の方に何度も同じ挨拶や会話をするようになり、家族が受診をさせるとアルツハイマー型認知症と診断。
すでに認知症はかなり進行しており、物忘れ、繰り返し言葉、食事の有無も分からない、さらには怒りっぽくなり、家族や近所に暴言を吐いてしまう事も多々あるようになりました。
ただ身体には異常がないので、歩行や運動には問題がありません。

家族としては金銭的、気持ちの面でもすぐに施設入所、という訳にはいかなかったのでまずは認知症の進行を遅らせようという事で、小規模デイサービスへの通所を始めました。

認知症利用者が怒るのはなぜかと考える

通所が始まったMさんですが落ち着いている時は証券マンとしての血が騒ぐのか、話好きで冗談も言う面白い方でした。
ですが何かの拍子に頭に血が上ってしまうと「だからお前はダメなんだ!そうじゃないだろ!」とまるで上司が部下に言う口ぶりで暴言を出してしまいます。
なるべくMさんと他利用者が会話をしている時はスタッフが間に入りますが、油断をするとMさんが怒り出すという事態を招いてしまいます。

会社時代の上役としてプライドが高いMさんは他者にアドバイスを受けたりすると「偉そうな事を言われた」という思いを抱いてしまうようでした。
怒っていない時は本当に話上手なMさんですが、このままでは他利用者に敬遠されてしまい、交流ができないという事でさらに対策を練る事になりました。
数日様子を見ているとMさんがある日「私はなんの為にここに来ているんだ?」と言いました。
話を聞いてみると、Mさんはここデイサービスに仕事をしに来ている、と思っていたようでした。

実際にMさんはスタッフが片付けをしているとお手伝いをしてくれたり、他の利用者が歩き辛そうにしていると手を引いてくれたり、誰かの為にいつも『何か』をしようとしてくれていましたが、スタッフが危ないのでと断っていました。
それがMさんのやりたい事を阻害し、気持ちを乱しているのではないかと気付いたのです。

認知症利用者に望む事をしてもらった

そこでスタッフも見守りながらMさんに仕事と称したお手伝いを色々としてもらう事にしました。
簡単な書き物、書類整理、シール貼りなどすぐにできる軽作業ですが、お願いをするとMさんはいつも嬉しそうに返事をしてくれ、作業に熱中していました。

いつしか軽作業はMさんの仕事という事が定着し、他利用者が「いつもまめよねぇ」とMさんに声をかけたり、Mさんからも「今日のやる事は?」とデイサービスに来る理由を見つけ、最初は嫌がっていた来所も積極的に来てくれるようになりました。
やる事を見つけたMさんに変化はありました。
時間を効率よく過ごせるようになった事で怒り出す事もなくなり、他の利用者と会話をしていても以前のように怒鳴る事がなくなったのです。

まとめ

まとめると退職前はバリバリの会社員だったMさんは時間を持て余している事に気持ちが乱される→仕方なく他利用者と会話をする→しかし、いつもイライラしている状態であったので何かきっかけがあると怒鳴ってしまう、という悪循環があったのに気付かされました。
今では毎日来所するようになったMさんのやる事を用意し、仕事をしてもらう事でMさんの暴言はなくなり、一人のスタッフのように過ごしてもらっています。
利用者の望む事を危ないからと拒否するのではなく、安全に望む事をしてもらう為にはどうしたらいいかを考えることが大切です。

[参考記事]
「認知症を原因とする暴言・暴力行為を防ぐために行なった対応」

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