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認知症による帰宅願望に対してどのように声掛けしたらいいのか

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入所したことが理解できない

 Kさん(80代女性)は特別養護老人ホームに入所されて1年です。認知症により自宅での介護が難しくなり、入所されることになりました。入所されてすぐの頃は、家族も面会に来られていましたが、Kさんが毎回「家に連れて帰って」と言われるので、その都度「おばあちゃんの家はここになったのよ」と説明していました。毎回同じことが繰り返されるので、だんだんと施設から足が遠のくようになってしまいました。今では、差し入れや衣類を届けに来られても、本人に会わずに帰ってしまいます。

 Kさんは今いる所が「家ではない」ということは分かりますが、「ここはどこで、なぜ、ここにいるのか」は分かっていない状態です。もちろん、家に帰りたいという帰宅願望は認知症云々関係なく当然の感情です。でも、それが難しいのであれば、どのようにその不安を受け止めるのかが重要になってきます。

不安な気持ちが帰宅願望を高める

 Kさんは、認知症のために施設に入所したことをよく覚えておられません。夕方になると「今日で家に帰ります。」と荷造りを始められます。スタッフは、「確認してきますね」と一度部屋を退室してから部屋に戻り、「事務所に連絡がなかった」「明日の間違いではないか?」「夕飯を用意してしまっているので、食べてから帰った方がよいのでは?」など声かけします。本人が少し待とうと考えが変わられたところで、夕食前ならば食堂に移動してもらいます。

 スタッフはその間に荷物を元に戻します。大抵は食事や他のスタッフと話し気分転換されると、帰りたいと話されていたことを忘れておられます。食後、部屋に戻り、何事もなく過ごされるようならいいですが、そんなことばかりではありません。しばらくして、部屋に様子を見に行くと、また荷造りを始めようとされている時があります。このような時は、スタッフに白衣を着てもらい「まだ、体が治っていないので退院許可が出ていない。明日まで様子をみましょう」と話すと本人も「医者からの退院許可がおりないのであればしょうがない」と納得されます。

Kさんとの関りで注意していること

 Kさんと関わる時に注意していることは、「家に帰ることになった」と言われるKさんの言動を否定しないことです。認知症があり、自宅ではない場所で過ごされているKさんの不安な気持ちを受け止めるようにしています。

 「家に帰りたい」と言われるときは不安な気持ちが起こっていると考え、気分転換になるように散歩に誘ったり、話し相手になったりします。本人の言動を一度受け止めてから、今日帰れなくなった理由を「家族に用事ができ、迎えに来れなくなった。明日に変更になりました」等と話すと本人も納得しやすいです。変更日の設定はなるべく早い日で伝えるようにしています。これは帰りたいと切実に思っているKさんの気持ちが「1ヶ月後」よりも「明日」「明後日」のほうが受け入れやすいからです。

明日へのモチベーションを高める支援

 最初の頃は、帰宅願望に対して「家の話」や「家族の話」は話題にしないほうがよいのではと考えていました。これは帰りたい気持ちが強まるのではと思ったからです。しかし、若い頃の家での話をされるKさんは生き生きされ、話すことがとても楽しそうです。本人の話に対してスタッフも質問したりし、家での話を積極的に聞くようにしました。

 また「家族が迎えに来ない」などさみしさを訴えられるときは「仕事をされていますからね」「時間を見つけて差し入れを持ってこられていますよ」「子供の世話が忙しいのですよ」などスタッフが話すと、本人のさみしさもまぎれます。「家族が迎えに来るまで、もっと元気になるよう頑張りましょう」など本人のモチベーションが上がるような声掛けも積極的にするようにしています。

まとめ

 帰宅願望に対して家のことは話さない方が良い人もいますが、人によって対応が違うのは当然です。Kさんのケースでは話題に取り入れると、本人の気持ちが落ち着き施設で頑張ろうというモチベーションが高まったので、家の話をしました。認知症状のある方の不安は様々な形で現れますが、その都度不安を解消し、明日へのモチベーションにつなげていくことが大切だと思います。

[参考記事]
「認知症による強い帰宅願望への介護職員の対応」

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