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認知症による帰宅願望を止める方法とは。時にはハグも有効

 

今回は80代の女性Sさんの帰宅願望について紹介します。特別養護老人ホームにてショートステイを利用し、帰宅した時は(同じ系列の)デイサービを利用していましたが、認知症の進行により自宅と施設が区別つかず、施設でも家でも帰宅願望が頻繁に見られるようになりました。

ご家族様はこのことで介護に疲れ、Sさんの旦那様はとうとう倒れてしまいました。その結果、特別養護老人ホームに入所の運びとなりました。

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AM9:00に帰宅願望が始まる

AM9:00、朝のラジオ体操の時間が終わってから、Sさんの行動は始まります。毎朝、必ず次の事を言います。

「今から仕事なので野菜に肥料撒かないといけないので帰りますから。お世話になりました。」

それに対して職員は説得や話題を変えるなど対策を講じますが、Sさんは興奮し怒りだします。

「あなた達には関係ないでしょ!!」

「その話はこの前も聞いた!!」

場合によっては杖を振り回し、職員を叩こうとする事もあります。一度だけ、振り回した杖が近くを車椅子で自操されていたご利用者様の顔に当たったケースもあったので、この件以降は本人様の行動を優先することにしました。

Sさんは一目散に廊下に出て、ドアがある場所を探します。ドアは安全上ロックされている為、開かないようになっていますが、時には力いっぱい無理にでも引っぱる行動が見られます。その後しばらく続けて、「少し落ち着きましょうか?」と声をかけ、お茶や軽い軽食(飴や小袋のお菓子など)を食して頂くと気が休まれます。

PM4:00にも帰宅願望

もう一つの帰宅願望の時間帯はPM4:00。ちょうど夕暮れの時間ということもあり、帰宅する時間帯と分かっておられるSさんは「今から息子たちが帰ってくるから、窯でご飯炊かなくちゃいけないので・・。お世話になりました。」と言い出します。

この時間帯はミーティングがあり、職員配置も少ない為なかなか厳しい時間帯です。

Sさんはもともと百姓や家事を多くされていた為、毎日の洗濯物(タオル)を干したり、畳んでいただく作業をお願いしてみました。最初は乗り気ではなかったのですが、他のご利用者様の畳み方が気に入らないのか、畳み直しをしてくれるようになりました。それが習慣付いたことで継続してやってくれるようになりました。

作業が終わるころには夕飯に近づくので、帰ることを忘れ、夕方は比較的に興奮が少なくなります。

Sさんを笑顔にする方法

いつも興奮しているSさんですが、彼女の気持ちを抑える方策があります。それは、私の手をSさんの頬に当てて話すことです。そうすることで強ばった表情もなくなり、笑顔が出るのです。そしてSさんは自分の手を私の手に重ね「あったかいね」と言われるのです。

他はハグをすることです。この時も笑顔になられます。とても笑顔が可愛らしいSさんですので、その時は私も幸せを感じます。

これらの方法は他のご利用者様にも有効でした。頬に手を当てたり、ハグをすることで気持ちが安らぐのだと思います。恋人同士でもそうではありませんか?ホッとすることありませんか?それに近いことだと思いました。

認知症の人を嫌がる方が多いです。私も最初は苦手でした。でも、お年寄りは人生の大先輩です。先は長くないですので、少しでも良い思い出を持って旅立って欲しいと思っています。

[参考記事]
「夜間に徘徊を繰り返す認知症の人への対応。原因は夫との思い出」

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