弄便とはパンツやオムツに溜まっている便を触ったり、壁などに擦り付ける行為です。認知症の症状として多く見られます。この行為は決して介護者に意地悪をしようと思って行っているわけではなく、パンツやオムツに溜まっている便が気持ち悪いから、それを外に出そうとする行為です。
弄便で私が今までに見た悲惨な状況は、便が手について嫌だったため、手を舐めて綺麗にしようとした認知症高齢者がいました。その結果、口の中が便で黄土色になり、頭にも塗りたくり白髪が綺麗に余すところ無く茶色がかった金髪になっている状況です。ちなみにこの方は毎回弄便がありました。ご家族の中には、絶句してしまう方もいるほどの惨状です。
ではわれわれ介護者は弄便に対してどう対応しているのかお伝えします。
入浴する
軟便や水様だった場合はとても悲惨な状況です。ちなみに一番困るのは、水様よりもネチネチした泥状の便です。このような便を触った場合、手はもちろんのこと、体も汚れますので、入浴して綺麗にします。弄便をする人は1度や2度ではなく、日常的にみられるケースが多いので、排便によって皮膚状態に悪化がないか確認するためにも入浴がベストです。
「入浴する程でもない」と判断した場合は、陰部洗浄を行い、着替えて頂いた後に、この場合も皮膚に悪影響が及んでいないか観察をします。
入浴の他に、我々施設の介護者が便の排泄に関して行っていることは以下の点です。
排便パターンを知る
トイレで排泄を済ませて頂ければ弄便は発生しません。この為に必要な事は、認知症の人の排便パターンを知る事です。出る確率が高いタイミングを知り、そこに合わせてトイレに誘導する事で弄便を防ぎます。そのために便を排泄する時間を記録して、排泄の時間を把握しましょう。
水分が適量か把握する
水分摂取量を把握して足らなさそうであれば水分を多めに摂って頂くようにします。水分量に関しても飲んだ量を記録して、便意や便の状態を把握してください。より正確に排便パターンを把握することができます。
それでもダメな時だけ便薬の使用を検討する
寝たきりの場合を除き、以上の過程を踏まずに便薬を使うのは、介護者の怠慢と言わざるを得ません。「弄便をしないように便薬ですぐに出させる」というような安易な使用は控えて下さい。こういうことを毎回していると便意を感じられなくなってきます。便薬の使用を検討するのは緊急性が高いときだけにしましょう。
このように介護者にとっては弄便の問題は大きなものですが、認知症の人は悪気があって行っている行為ではないということを頭に入れて対応をしてください。弄便に対して怒っても、本人は悪いことをしていると思っていませんので意味がないことです。
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