認知症による異食や食欲不振は、生命維持に関わる事です。早急に的確な対応を取らなければ、遅れた時間に比例して生活の質を落としてしまうリスクが上がります。では、介護職員が異食や食欲不振についてどのように対応しているのかお伝えします。
※異食とは食べ物以外の物を食べようとする行為です。
異食について
私はあまり異食行為に遭遇した事はありません(弄便で手についた便をなんとかしようとして異食に走るケースは除く)。異食は8年間の介護職員経験の中で2回なので平均すると4年に1度です。後から思えばいずれも異食に向けてサインがあったように思います。
私が遭遇した異食は乾燥剤と新聞紙です。二人とも認知症の人でした。乾燥剤を食べた人は普段、食べた直後でも「お腹すいた。食べ物あるか?」と言われる人だったのですが、ご家族が持ってきたオヤツを自室で食べ、ご家族が帰った後、捨てられていた乾燥剤を見つけ食べたのです。乾燥剤を食べた人は下唇が腫れ、本当に太さや大きさがタラコのようになっていました。勿論その後は病院で胃洗浄をしました。
私がこの人へ行なった異食対策は食事を量は増やさずに回数を増やし、様子を見るという対応をしました。それからは、少なくとも退所するまで(この間半年程)異食行為は見られませんでした。
新聞紙を食べた人のケースも、空腹感によるものでした。この人は食事摂取量が増えていた事から、(カロリー計算をした上で)一時的に食事の量を減らしていました。そうしている矢先に新聞紙を食べたのです。
食欲不振について
食欲不振の場面に遭遇した時に、考えられる事は色々あります。
「好きな食べ物ではない」
「今は食べる気分じゃない」
「食べ物と認識していない」
「レストランや宿泊施設と勘違いしており、お金を持っていないから食べられないと思っている」等、挙げればきりがありません。認知症を原因とするものだけではないことが分かると思います。
最後の例は特に内面の声を聞かない限り、外から見るだけではタダの食欲不振に見えます。ですので、気を付けてもらいたいのが「本当に食欲不振なのか」という事です。認知症は進行に伴って周囲に自分の状態を言葉で的確に伝えるのは難しくなります。私は歯の痛みから食べなくなった認知症の人をケアした事があります。初めは誰も気付かずに理由を探っていたのですが、もしかしたらと思い調べると原因は虫歯でした。その虫歯が痛くて、食べる気がしなかっただけでした。
認知症以外での食欲不振の場合は
「体を動かす量を増やす」
「気分が落ち込んでいないか気にかける」
等で対応します。
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