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[認知症介護]物盗られ妄想、徘徊、うつ症状が改善した事例

 

 都内のグループホームに入所されているAさん女性90歳は、アルツハイマー型認知症です。介護度は3で認知症は進行しているも、介護職員の見守りや声掛けで排泄や着替え・入浴などの日常動作を行っています。

 施設入所前は、警察官だったご主人と2人で生活をされていました。
ご主人は癌を患い他界。子供はおらず、お1人での生活は難しく成年後見人がつき、このグループホームにいらっしゃいました。

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Aさんの周辺症状

 Aさんは以下のような周辺症状がよくみられました(参考記事「認知症の周辺症状ってどんな症状なの?」)。

・新たな生活環境に馴染めず、お1人で外へ出て行ってしまったことが何度もあります。(徘徊)

・介護職員をコソコソ声で呼び『ここには泥棒がいるみたいなの』とおっしゃられ、洋服やアクセサリーを泥棒に盗られたという旨の物盗られ妄想も頻繁にみられていました。

・ご主人を亡くされた喪失感からかうつ症状、不眠や食欲不振もみられ『もう私も死んで主人のところへいきたい』など相談しに来られることもよくありました。

・『ここのお金を払えないからもう帰らないといけないの』などの帰宅願望も聞かれました。

周辺症状に対する対応

 上記のような周辺症状が現れる時間帯やその時の状況を探り、アセスメントを行いました。Aさんは何もしていない時間、孤独を感じたであろう場面(他利用者様のご家族面会の時など)に症状が現れやすいことが分かりました。そういった時間帯に何か今までの生活で続けてきたことをAさんの「役割」とし、提供していくことを現場では行うことと決まりました。

 Aさんが何もしていない時、職員がお声かけをし、専業主婦であったAさんへ家事への参加を促し、出来ることを見極めました。Aさんは認知症が進行しておりましたが、調理・洗濯・買い物・お裁縫を職員が見守り、そして声掛けすることで行うことができました。また、若い職員をみつけると『昔はお米炊く時は…』とご自身の経験をご教えてくださる姿もみられました。

 Aさんはホームで自分のことを「おばちゃん」と称し、『おばちゃんが手伝うよ』と、以前周辺症状が強く現れていた時間帯もご自身から家事へ意欲的にご参加くださるようにもなりました。お1人で外へ行こうとすることや物盗られ妄想の訴えは激減しました。

 Aさんに合った役割を考えたことで、彼女には居場所が生まれ、職員や他の利用者様との関係も良好に築くことができました。ご主人を亡くされた喪失感から『死にたい』と口にされることもなくなり、活動時間が増え適度な疲労感で夜間も良眠されています。

 認知症による周辺症状を完全になくすことは、不可能です。しかし、今のAさんはうまく役割にハマることで、格段に生活の質が上がったのは間違いありません。そして、大切なことはその役割をケアプランに反映し、職員間で共有することだと思っております。今回の事例で職員は情報共有を円滑に行ない、個々でバラつきのある対応ではなく統一した対応をしました。

 安易に精神薬や睡眠薬に頼るのではなく、こういった現場職員の関わり方・取り組みで改善できる周辺症状も多くあることをAさんから教わりました。現在、Aさんは『死ぬまでここにいさせてほしい』と口癖のようにお話しくださいます。

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