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暴力行為をする認知症の人への対応事例。声掛けで改善

 

 この記事では昼夜問わず叫び続ける認知症への方の有料老人ホームでの対応事例を紹介いたします。

 Tさん(88)はアルツハイマー型の認知症を持った女性でした。実家が農家で幼い頃から農作業を手伝っていた為、円背(背中が曲がること)が強くほぼ90度曲がってしまっていました。「日本のおばあちゃん」と言う言葉がよく当てはまる程、自分の事は二の次で他人を気遣う優しい方でした。日常生活も食事や排泄はご自分で出来る事もありましたが、入浴や居室清掃は援助させていただいていました。

 ご家族との仲も良好で、仕事が休みの日など家族もよくホームに来て、お墓参りや敬老の日など大きなイベント事があると、必ず家族と外出されていました。

 円背で足腰が弱っているのと記憶力の低下が顕著で、心配したご家族は有料老人ホームへの入居を決められました。Tさんが結婚後からずっと住んでいる町で「慣れ親しんだ場所で暮らしてほしい」と言う気持ちもご家族にはあり、このホームを決断されたとご家族は仰っていました。

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【一瞬の油断から招いた転倒】

 Tさんは本当に穏やかで優しい「おばあちゃま」といった感じの方でした。何事も「私、自分でやるから他の人手伝ってあげて」と言う方で、お言葉に甘えて見守り程度で他の方に行かせていただく事もありました。

 そろそろ夜が明ける頃、「トイレに行こうと思った」とベッドから起き上った瞬間、よろけて転倒されてしまったのです。緊急搬送させていただくと「転倒による骨折」「(日常生活での負荷から)圧迫骨折」と診断されました。

【変わってしまったTさん】

 Tさんはそのまま2週間ほど、入院されました。入院先の病院でどんな対応されていたのかはわかりませんが、帰園後、本当に人が変わってしまっていました。

 絶対に人の悪口は言わないし、ましてや暴力行為なんて皆無な方だったのが、真逆の性格となって戻ってこられました。

 暴言や暴力行為は日常茶飯事、私も対応に苦戦していた時期は痣だらけでした。「前のTさんに戻って欲しい」と思い、正面から向き合い続けました。

【訴えを叫び続けるTさん】

 毎日Tさんが寝ている時以外は、常時叫ばれていました。本当に悲痛の叫びだったのだと思います。「助けて」「殺して」と繰り返していました。虐待をしているわけではありません。可能な事は全てTさんのご要望通りに行っていました。

 病院では一日の大半をナースステーションで過ごし、病室では拘束されていたと後からわかりました。

【ホームは病院でない事を分かって貰う努力】

 「ここは病院じゃない」と常日頃伝える事から始めました。「老人ホームでは拘束は絶対にしない」ということ、「今、Tさんがやりたい事をして大丈夫」を繰り返し伝え、安心して頂ける努力をしました。

 認知症なので一回言っても理解して頂けないので、時間をかけてゆっくりと話かけました。

【時間を共有することで安心できたTさん】

 時間をかけてTさんにお声かけさせていただいた結果、ケアスタッフに対しての暴言や暴力がなくなり、元の優しくて可愛らしいTさんへと戻っていきました。

 入院前とは違い、完全に車椅子での生活となってしまいましたが、Tさんとの絆が深まり以前は拒否されていた身体介護も行わせていただけるようになりました。

 介護をする上で「声掛けは大切」と言いますが、人によりお声掛けの頻度や口調、話す内容は変わります。今回は不安感が強かったため、優しい口調で、「拘束はなく自由であること」を何度もお話させていただきました。

 病院を否定している文面に見えるかもしれませんが、治療するために拘束は必要な時があります。周りもツラいかもしれませんが、認知症のご本人が一番ツラいということを分かっていただきたいと思います。認知症により状況判断ができない上での拘束ですから。

[参考記事]
「認知症による妄想と暴力についての対応について」

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