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認知症高齢者の失禁・失便を見つけた時の対応。排尿や排便間隔を分析

 

 今回は認知症高齢者の失禁・失便を見つけた時の対応についての事例を紹介します。

 Yさん(82歳・女性)は入居当時から認知症の症状がありました。でも日常生活には支障はなく、トイレもご自身で行ける方なので特に問題はありませんでした。

 しかし、認知症が進行してしまい、トイレの場所が分からずに部屋の中で失禁や失便が見られるようになりました。スタッフもたまたま間に合わなかっただけかもと思いましたが、日に日に頻度が増えてきました。

 スタッフが訪室すると、Yさんがズボンとパンツを下ろした状態で床に座っており、床や壁にも便をこすりつけたような跡が・・・。

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弄便が頻繁に起こるようになる

 Yさんは日に日に弄便をするようになりました。弄便とは、おむつの中に失便してしまい、その不快感を取り除こうとおむつの中の便を触ってしまう行為です。

 Yさんはその行為や現状を見られたくないのか、弄便をした時にスタッフが訪室すると「早く出ていって!なんでもないから!!」と怒るようになりました。時には毛布で隠したり、便のついた下着をタンスに隠したりもするようになりました。

トイレ誘導と軟便の問題に取り組む

 Yさんの問題に取り組むためにミーティングをすることになりました。

 そこで2つの問題点に取り組むことにしました。

① トイレに行こうとしたが間に合わずに床の上で失禁や失便をしていることがあるため、Yさんの排泄の時間に合わせ、トイレ誘導の介助をすべきではないか。

② Yさんは軟便であることが多く、ダラダラと出ている様子が見られる。軟便に関しても対策を取る必要があるのではないか。

 まず、Yさんに尿パッドを常時付けてもらい、1時間置きに訪問し、失禁・失便をしていないか調べました。

 これを3日間続け、Yさんの排尿、排便間隔を分析し、それに合わせてプランの見直しを行いました。

失禁・失便の減少

 プランを見直しを行なった結果、Yさんには排尿、排便間隔に合わせてトイレ誘導の声かけをすることになり、それから失禁や失便の回数はだんだんと減ってきました。

 それでも訪問するとYさんが失禁している時もありましたが、今までは「出て行って!!」と怒っていたYさんでしたが、怒らなくなり「あれ?床が濡れているけど何でだろう?」と笑いながらYさんなりにごまかそうしていました。

 スタッフも「雨が降ってたから濡れたんですかね?良かったら拭いておきましょうか?」と声かけをするとYさんも「いいの?助かるわー」と笑いながらおっしゃっていました。

食事の見直し

 Yさんは軟便が多く見られたため、食事に関しても分析することになりました。Yさんは軟便が多いことから、水分が多く含まれている食材を多く摂取し、お腹がゆるくなっているのではないか?としかし、Yさんは施設の食事を召し上がられているため、これといって見当たる物がありませんでした。

 Yさんには週に2〜3回、ご家族が面談に来られるのですが、よく差し入れをしていました。もしかしてと思い、差し入れが何かをお聞きすると「スイカや果物が好きでよく食べていたので、よく差し入れしています。」とのこと。スイカなど水分が多い食材は食べ過ぎるとお腹をゆるくしてしまうので、あまりよくありません。

 そこで、ご家族の方にも軟便が多く見られることを説明し、しばらくの間、水分量の多い食材の差し入れを控えてもらうようにしました。それから少しずつですが改善傾向が見られました。

まとめ

 認知症高齢者の失禁・失便が見られた時の対応として、
① 利用者個人の尊厳を守ることが何よりも大切

② トイレ誘導など介護サービスは適切に行われているか

③ 食事内容に問題はないか

と言ったように、まずは利用者個人の尊厳を傷つけない配慮をし、ご本人にとって必要なサービスや、その事象が起こった裏の背景に目を向けることが大切です。

[参考記事]
「認知症介護:便を顔に塗る弄便や便を食べる異食行為への対応(実例)」

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