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認知症の人が水分を摂取しない時にはゼリーが最適

 

 認知症の人が失認などを原因として水分を摂取したがらない事例に遭遇したことはありますか?

 認知症の多くは、高齢者であり、こまめな水分摂取で脱水予防することは健康維持という点ではとても大切です。しかし、認知症の人の中には、習慣により水分を欲しがらない、コップや湯飲みを認識できない(失認)、等々の理由で水分をご自分では摂取しない(できない)方がいます。

 介護士としては、何とか水分を摂取してもらおうとあの手この手を考えるのですが、たいてい失敗するのは強引に飲んでいただこうとするケースです(強引に飲んでいただくという表現が不適切であったら申し訳ございません)。

 今回の記事では、私が所属した介護士チームが、認知症の人で水分をご自分では欲しがらないために実践した方法を紹介します。では一体、介護士チームはどんな工夫をしたのかをご紹介していきます。

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コップのお茶は飲まない

 K様(80代女性、要介護3)は、認知症はあるものの、身体機能は保たれており、食事に関しても普通食の形態でむせることなく自己摂取できる能力のある方です。

 このK様、施設に入所する前はご自宅で日中お独りで生活されていました。そのためか、水分不足に陥るときが増えはじめ、脱水症状を起こして救急搬送されるということが続いたそうです。

 そのような情報を知り、新規の入所ご利用者様として私達はK様をお迎えいたしました。

 入所日の最初の食事は、昼食です。K様の食事形態は事前情報による判断で「普通食」「お茶もそのままの状態で、取っ手付きコップで提供してみる」だったので、このとおりに提供してみました。

 事前情報どおり、ご飯やおかず類は残さず召し上がられるのですが、水分(このときはお茶)だけは飲みません。介護士がコップごと口に運び一部介助を試みましたが、とても嫌がります。

お茶以外の飲物(ジュースなど)なら飲むか?

 K様に水分を摂取していただくためにどうするか?

 介護士チームも最初のうちは「種類を変えているうちにそのうち飲むであろう」と軽く考えていました。ジュース、ココア、紅茶、ノンアルコールビールなどまさに手を変え品を変え・・・で試したのですが、やはりコップの飲物の種類が何であっても飲もうとされないのです。

 介護士の声かけだけでは、K様に水分を摂取していただくことは困難です。なんとか工夫しなければ・・・

 水分を好んで摂取されないK様に対して、職員は工夫して、お茶ゼリーを作り、四角い皿に入れ替えてスプーン付きで提供してみたのです。

 すると、コップではどんな水分も飲まなかったK様が、皿からスプーンでこぼさずに口に運んで、お茶ゼリーを摂取することができるではありませんか!ゼリーであっても水分を多く含みますので、1日の水分摂取量としてカウントしました。

能力を活かす発想

 このK様、もう1度振り返らせていただくと「お茶以外のもの、ご飯やおかず類は普通食で召し上がることができる」その能力を有しているわけです。

 ただ、「飲み物」という認知ができなかったために飲むことができなかったわけです(認知症の中核症状である失認)。これはご本人様や職員を責めれるものではありません。

失認は、後頭葉や側頭葉などの損傷が原因で起こります。視覚・嗅覚・触覚には何の問題もないのにも関わらず、物を認識できなくなることを言います。今までわかっていた人や物がわからなくなるなどの症状がみられます。

[参考記事]
「認知症の中核症状とはどのような症状なのか」

 K様が持っている能力を活かし、水分を摂ってもらう方法として、「お茶ゼリー」を試みました。お茶以外にもポカリスエットゼリー、ジュースゼリーなど作り、四角いお皿に入れて提供すると、K様はそれを食べ(水分として摂取することができ)、脱水症状を回避することができたのでした。

 この記事を読まれた介護士の方で、認知症ご利用者様の水分摂取に悩んでいらっしゃる方がいましたら、ぜひ参考にしていただければと思います。

※ゼリーは喉に詰まる可能性があるので、コンニャク系の一口タイプのゼリーには気を付けてください。

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