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脳血管性認知症により感情の起伏が激しい人への対応

 

 介護施設で働くなかで認知症を患っている人と関わることも多いですが、その症状の程度は様々でした。症状が軽い人であれば物忘れや施設内で迷子になる程度でした。しかし重度になると行動の抑制や判断力が落ちる結果、突発的な行動が増えたり、暴力や妄想なども出現します。

 今回は認知症を抱える人との関わり方についての実体験を紹介させていただきます。

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重度認知症を持つAさん

 Aさんは80歳代の女性であり、脳血管性認知症を患っていました。前頭葉の脳梗塞からくる認知症であり、自分の感情や行動のコントロールが全く利いていませんでした。そのためその時々の感情に任せて行動や発言をしています。

 具体的には自分の考えや気持ちと違うことをしたり、返事をすると怒鳴る・暴力を振るう・ものを投げるなどの行為を行ないます。感情が爆発したあとでは手がつけられませんでした。実際にそれで本人が転倒したり、スタッフや他の入所中の方に危険が及ぶこともありました。

一番困ったこと

 Aさんに対する施設での対応の中で一番困ったことは「いきなり動き出すこと」です。ベットで寝ていても椅子に座っていても急に立ち上がったり歩きだしたりします。足腰が強くないので、いきなり歩くと転倒する危険性がありました。

 声掛けをすれば大人しくなってくれることは多かったですが、それも長続きはしませんでした。何度も言うとそれに対して怒りを感じてしまうため、対応に困ることが多かったです。

 体の機能としては認知症の原因である脳梗塞による運動麻痺は軽度です。そのためたったり歩いたりすることも出来ますが、ふらつきや膝俺もある為、見守りは必要な状態です。また人が増えたり騒がしくなるなど刺激が増えるにつれて、突然歩き出す行動が起こりやすいため目が離せませんでした。

問題行動への対応

 感情が爆発する事については出来るだけ話を聞いてあげて、否定も肯定もしないようにしました。しっかりと本人の話を聞いてあげると満足するのか、以前ほどは感情に任せた行動を取ることも減りました。

 それでもダメなときを想定して、投げることができる物をできるだけ近くに置かない・一人になるときや部屋のときは床にマットを敷くなどして転倒に備えての準備をするようにしました。

 しかし施設のスタッフは曜日によって人数も変動するため、常時対応できないことも多いです。そのため施設内で話し相手になってくれる人がいればその人と席を近くにしてお話をしてもらうようにしました。

 もし何かあれば大声や大きな音を立てるため、すぐにスタッフも駆けつけることが出来ます。幸い、話し相手の入所の方も楽しく会話されておりトラブルもなかったため、Aさんも自分の話を聞いてくれる人がいると喜んでいました。

 ただし、椅子に座って話をしている時は必ず目の届く場所にいてもらうことと、立った時にはなぜ立ったか・どこに行きたいかを聞くようにしました。もし向かう先があれば同行し、もしなければ話を聞いてあげた後に座るように説得しました。

まとめ

 Aさんの特徴として分かったことは、感情の起伏が激しいことの大きな原因は「話を聞いてもらえないこと」でした。もともとおしゃべり好きな性格ですが、スタッフは仕事の関係で話の途中で去ることもあったため、それが溜まりに溜まって問題行動を引き起こしていました。

 認知症の人の問題行動は周りの人にも負担をかけますが、最も辛いのは本人です。その辛さは本人しか分かりませんが、今回の事例のように丁寧に関わることで原因が特定できることがあります。

[参考記事]
「脳血管性認知症ってどんな症状があるの?」

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